三男・和毅に続いて、長男・興毅も間もなく米国デビュー! JBCとの関係悪化で国内で試合のできない状態の続く亀田三兄弟が海外に本格進出、その目論見は?

11月1日、米シカゴでWBO世界バンタム級王者・亀田和毅(ともき)の3度目の防衛戦が行なわれる。そこで、元世界3階級制覇王者の兄・亀田興毅がノンタイトルのスーパーフライ級10回戦を行なうことが電撃決定。約1年ぷりの復帰戦となる。

亀田三兄弟vsJBC(日本ボクシングコミッション)、バトルのゴングが鳴ったのは、昨年12月3日のこと。当時、IBF世界スーパーフライ級王者だった次男・大毅の王座統一戦に端を発する。

この試合、相手が計量に失敗。亀田陣営は「大毅が勝てば統一王者。相手が勝利した場合は王座が空位に」と語っていた。

しかし、大毅が判定負けすると、IBFの立会人は「負けてもベルトは保持したまま」と発表。事前のルールミーティングと異なる決定にJBCが聴取を開始すると、亀田ジム側は「亀田ジムとJBCの間で重要な事実認識の齟齬(そご)があった。ルールミーティングで、大毅が負けても王座のままが確認されていた」と説明。一方のJBCは「マスコミ発表と違う事実を陣営が知り得たなら、なぜそれを事前に公表しなかったのか」と、ジム運営体制を問題視し、処分の検討を始める。

そして今年2月、JBCは亀田ジムの吉井慎次会長と嶋聡マネージャーのライセンス更新を認めない決定を下す。結果、亀田ジムは活動停止となり、三兄弟のボクサーライセンスは実質的に失効、国内リングに立てなくなってしまったのだ。

JBCは、なぜこれほど重い処分を下したのか?

「その〝負けても防衛〟問題だけでなく、亀田ジム関係者は、過去に計6度の処分をJBCから受けています。JBCは、もうこれ以上メンツを汚されてなるものかと厳罰を与えたわけです」(スポーツ紙記者)

大物プロモーターとの契約で起死回生?

処分を受けた亀田三兄弟が手っ取り早く国内復帰するには、他ジムへの移籍しか道がなくなった。そこで7月、長男・興毅はあるジムへの移籍を発表するも、JBCは「世界戦開催の実績などがあって、信頼、信用のあるジムであること」というガイドラインに合致しないと、移籍申請を却下。また、亀田側がほかの大手ジムと進めていた極秘の移籍交渉もご破算に…。ある業界関係者がこう語る。

「亀田三兄弟が父・史郎氏の元を離れ、大手ジムの一選手として出直すならJBCも国内復帰を認めるでしょう。ただ、依然として史郎氏の三兄弟への影響力は大きいですし、『商品価値がない』『関わりたくない』と、もはや業界内にも手を差し伸べる者がいないのです」

そんな苦境にあって、興毅は視線を海外に向けた。

海外での試合経験が豊富で、高評価を受ける三男・和毅が、米国の代理人アル・ヘイモンと契約を結んだからだ。ヘイモンは“歩くATM”と呼ばれる大物で、1日に行なわれる和毅の3度目の防衛戦のファイトマネーは約5000万円。これは、軽量級では世界トップクラスの金額だ。

そのヘイモンと興毅、大毅も近々、契約を結ぶと噂される。亀田三兄弟がそろって本場・米国でのし上がれば、日本の世論も「亀田を見たい」と動き、JBCが態度を軟化せざるを得なくなる可能性はある。

とはいえ、ボクシングライターの原功氏はこう話す。

「海外でのファン開拓は簡単ではありません。興毅、大毅のように、守って守ってカウンターというファイトスタイルはまず受け入れられない。ファイトマネーに見合った対戦相手とのエキサイティングな試合が常に求められます」

どうやら亀田三兄弟の試練は続きそうだが、メンツを守ったJBCにしても、この騒動によってボクシングそのもののイメージを大きくダウンさせてしまった。両者が歩み寄り、“ウィンウィン”の関係に戻る日は…。