佳境に入った秋のGI戦線。これまでGIレースでも数々の高配当を的中させてきたデイリーの「穴王子」こと豊島記者が穴馬を狙う考え方、さらには自身の的中レースから高額配当ゲットのプロセスを教えます!
■新聞から読み取れるデキの良さのサイン
そもそも「人気がない」というのは、能力で劣っていたり、成績が悪かったりということ。そういう馬が勝ち負けをするには、まず状態の良さが必須なので、追い切りの動きや中間の調整内容をしっかりと見ることが大事です。調教スタイルや、強弱を変えてきたら絶対に何かあります。
とはいえ、そこまで見られないファンの方はひとつの基準として、新聞のコメントを活用することです。あえて「絶好調」「かなりいい」と書いてある馬は、本当に状態がいい可能性が高い。逆に調子が悪いときは、コメントで触れないことがほとんどです。また、「いつもより長めの距離で乗っている」「普段の調教で坂路を1本増やした」などのコメントがあった場合は体質の強化を示していることが多いので要注意です。
人気馬を疑え!というと、記者の印を疑えということなので会社に怒られそうですが(笑)、大事なのは人気馬の負けるパターンを考えることです。望ましくない展開、コースや距離は本当に合うのか。これが見えると、グリグリの人気馬でも自信を持って切ることができます。単勝1倍台の馬がいなくなるだけで、配当はグンと上がるので穴馬券の効率も上がりますよ。
大穴実践例をチェック!
■展開と騎手の心理を考えよ!
先ほど述べたように、人気のない馬は力が劣るケースが多い。正攻法で勝負して厳しい戦いを強いられるのですから、思い切った戦法も必要になります。また、ペースや流れをつくるのは馬だけでなく騎手の仕掛けどころが大きな要素。人気馬と逆の脚質の馬は必ずチェックですね。
例えば、先行勢に1番人気馬がいれば「あの馬をマークしながら」と必然的に前がかりのレースになる。すると死んだふりの後方待機馬だったり、追走に手間取るような馬が突っ込んできたりします。逆に人気馬が差し、追い込みだとそこにマークが集中しやすく、人気薄の逃げ切りを許すことも。騎手はどういう心理状態だろうというのを想像してみると、展開読みがより一層面白くなります。
大穴実践例(1) 08年秋華賞
ブラックエンブレムは秋始動戦のローズSで岩田と新コンビを組んで大敗。これが、騎手の心理的に「正攻法では勝てない」と印象づけたことで、本番で何かバクチをしてくるだろうと見ました。本番の京都内回りは、中山の小回り1800mのフラワーカップを強い内容で勝っているこの馬にはプラスのはずで、もっと人気になっていい馬ですが、盲点になっていたのも大きかったです。しかも、人気馬はどれも信頼度がイマイチ。
で、狙いどおり強気にインからロスなく鋭い差し。人気馬凡走で大波乱になりました。
大穴実践例(2) 09年エリザベス女王杯
クィーンスプマンテは牡馬相手の京都大賞典で9着に敗れたとはいえ、残り200mまで先頭、勝ち馬とは1秒0差の好内容。本番は同じ京都で、ちょうど200m短い2200m。これは逃げ切れるかも!?と踏みました。この馬の場合は、中間に乗り込み量を増やして明らかに前走以上の仕上がりでもありました。さらに、人気の中心が追い込み馬のブエナビスタだったのも、おあつらえ向きにノーマークになりやすい要因でした。
すべてが噛み合った12年天皇賞・春
大穴実践例(3) 12年天皇賞・春
この年の石橋脩は重賞を勝つなど非常に好調で、この日も騎乗に迷いがなかった。加えて、このときは近年屈指の高速馬場でこの馬に展開が向きそうな上、陣営もデキにかなりの自信を持っていました。
また、断然の1番人気だったオルフェーヴルは前走の阪神大賞典で大逸走したので、ジョッキーも慎重になってしまう。ほかの騎手もオルフェが後ろにいる以上、あまり早仕掛けはしたくない……と、あらゆる点で前残りが想定できる一戦で、すべてが噛み合いました。こうした要素を参考に皆さんもお宝馬券を狙ってください!
●豊島俊介 1980年生まれ。03年デイリースポーツ入社。競艇担当を経て06年末から中央競馬担当。回収率の高さと的中の快感から穴担当を続ける。趣味は麻雀と酒
(取材・文/土屋真光)