日本競馬史に残る大口投票といえば、思い出されるのは03年の宝塚記念。レースの前日、東京のWINS新橋でヒシミラクルの単勝に1200万円もの大金をブチ込んだ男がいたとレース前から大きな話題になった。

このレースでヒシミラクルはGⅠ2勝にもかかわらず伏兵扱い(最終的に6番人気。単勝16.3倍)だったが、なんと勝利! その払い戻し金は約2億円にも上ることからワイドショーやニュースは大騒ぎ。男は“ミラクルおじさん”と呼ばれ一躍、時の人となった。

結局、ミラクルおじさんの身元はわからずじまいだったが、舞台となったWINS新橋では、その5年前の春の天皇賞でも5500万円の1点勝負(メジロブライトとシルクジャスティスの馬連。最終オッズ1.4倍)をした男がいたことが判明。このときはあえなく不的中で5500万円は紙くずとなったが、一部ではミラクルおじさんとの同一人物説との指摘もある。

こうした伝説の大口投票を生んできたWINS新橋が12月28日をもって閉館することとなった。ミラクルおじさんは今、何を思うのだろうか?

(取材・文/土屋真光)