ホンジュラス(14日・豊田)、オーストラリア(18日・大阪・長居)と、年内最後の日本代表戦が行なわれる。
アギーレ監督の就任した今年8月以降、日本代表はこれまで4試合を戦っている(1勝1分け2敗)。まだ無名に近い若手を大量招集したり、強豪ブラジル相手に代表経験の少ない選手を何人もスタメン起用するなど、アギーレ監督自身が「テスト」と話すように、ここまでは手探り状態。どの試合も、世論を納得させるような内容、結果ではなかった。モヤッとした不安を覚えているファンも多いだろう。
正直に言って、僕もアギーレへの不安は日に日に大きくなっている。
確かに、武藤、柴崎といったJリーグで結果を出している若手にチャンスを与え、使えるメドをつけたことは評価すべきだ。
でも、それ以外の部分ではどうだろう。大量に呼んだほかの“新顔”はパッとしないし、選手を本来のポジションとは違うポジションで起用したり、所属クラブであまりプレーできていない海外組を招集したり、できるだけ多くの選手を試したいのかと思いきや交代枠を余らせたりと、何がなんだかわからない。チームづくりが思うように進んでいるようには見えない。
もちろん、仕方がない部分はあるよ。もともとアギーレ監督は日本サッカーに詳しいわけではない。選手を把握する時間もほとんどなかった。また、選手についての情報提供という面で、日本サッカー協会のバックアップが十分ではなかった可能性もある。だから、僕もこれまでの試合の勝敗や内容については多くを論評しなかった。10月にブラジルに0-4で大敗したときも、悲観する必要はないと言ってきた。
ただ、さすがにテストはもう十分じゃないかな。来年1月にはアジア杯(オーストラリア)が控えている。今回の2連戦では、こういうメンバーで、こういうサッカーをやってアジアを制するんだ、というものを見せなければいけない。少なくとも、スタメンは2試合とも固定すべきだね。
気がかりはアギーレ監督のチーム一時離脱
ホンジュラスもオーストラリアも、アウェーということで、まずはしっかり守ってカウンターを狙うという戦い方をしてくるはず。そんな相手の引いた守備をどう崩すのか。それは日本がアジアで戦うときに、いつもつきまとう課題。アジア杯のシミュレーションとしてはうってつけだ。だからこそ、今回は内容と勝敗にこだわってほしい。そうでなければ、選手もファンも不安な気持ちのまま年末年始を過ごし、アジア杯に臨むことになる。
ひとつ気がかりなのは、ホンジュラス戦前の代表合宿期間中にアギーレ監督がチームを一時離脱すること。メキシコ企業が主催するサッカーの殿堂に入ることが決まり、その式典に出席するために帰国するそうだ。
ただでさえ代表チームはまとまって練習する時間がなかなか取れない。チームづくりも思うように進んでいない。にもかかわらず、このタイミングでチームを離れるなんて、自分で自分の首を絞めるような行動だよ。監督不在では、選手も誰にアピールすればいいのかと困惑する。僕にはちょっと理解不能だね。
アギーレ監督がすでにアジア杯制覇への手応えを十分つかんでいるのか、それとも日本代表監督という仕事をナメているのか。今は前者であることを願うばかりだ。
(構成/渡辺達也)