2試合とも結果にこだわって、しっかり勝ち切ったことを評価すべきだろう。

日本代表が年内最後の強化試合、ホンジュラス戦(6-0)、オーストラリア戦(2-1)を連勝で飾った。

これまでアギーレ監督は、無名に近い若手を大量招集したり、強豪ブラジル相手に代表経験の少ない選手を何人もスタメン起用したりするなど、ある意味、内容や結果を度外視して“テスト”を重ねてきた。

でも、今回の2連戦は、来年1月のアジア杯(オーストラリア)前の最後の強化試合。こういうメンバーで、こういうサッカーをやって勝つんだというものを見せられなければ、選手もファンも不安な気持ちを抱えたまま年を越すことになる。それだけに意味のある連勝だった。

正直、ホンジュラス戦に関しては相手のデキがひどすぎて論評は難しい。ただ、続くオーストラリア戦に勝ったのは大きいね。前回(2011年)のアジア杯決勝でも対戦したライバルで、しかも今度のアジア杯は自国開催とあってモチベーションも高かった。そういう相手に勝てたのは自信になるよ。

今までいろいろな選手を試してきたのに、結局、ザッケローニ時代のメンバーとほとんど同じなのかと不満に思う人もいるかもしれない。

でも、それも仕方のないこと。ザッケローニ前監督は長い間スタメンを固定して戦ってきたから、彼らには十分な連係ができている。少ないチャンスのなかで、そこに割って入るのは簡単なことではないよ。また、そもそもブラジルW杯メンバーを脅かすような若手が次々と台頭しているわけでもない。言い換えれば、それだけ今の日本は選手層が薄いということ。“現実路線”にシフトしたら、誰が監督でも同じようなメンバーになるんじゃないかな。

日本の連覇のカギを握る選手は香川

岡崎はいつもどおりに走って走ってボールを追い回し、技ありのゴールを決めた。本田もACミランで自信を取り戻した。復帰組の遠藤、長谷部はベテランらしく落ち着いて、安定感のあるプレーを見せた。

アジア杯も、彼らオーストラリア戦のスタメンがベースになるだろう。入れ替えがあるとすれば、両サイドバックに内田と長友が入るくらい。あとは武藤に代わって乾(いぬい)がスタメンに抜擢(ばってき)されるかもしれない。乾は2試合とも途中出場して、効果的な動きを見せた。アギーレ監督の判断次第だけど、技術は明らかに武藤より乾が上。個人的には、次は先発で見たい。

アジア杯のノルマはもちろん優勝。前回王者として、しっかりアジアのライバルに勝ち切ってほしい。

もっとも、それは簡単じゃない。今回のオーストラリア戦でも課題が目についた。前半は相手に主導権を握られ、何度か危ない場面があった。また、中東勢や韓国のようにスピードに乗ったドリブルで仕掛けてくるチームと対戦したときに、どこまで対応できるかも未知数。決して日本の力が抜けているわけではない。過信は禁物だ。

日本の連覇のカギを握る選手はズバリ、香川だね。今季は古巣ドルトムントに復帰したけど、まだ完全復活には程遠い。かつての輝きや自信を取り戻せていない。アギーレ体制になってからの日本代表でも、きれいにプレーしようという意識が強すぎて物足りない。彼がもう少し強引にゴールに向かうプレーを見せれば、日本の攻撃にはもっと迫力が出てくると思う。

(構成/渡辺達也)