将軍KYワカマツのコスチュームをまとい、雪深い芦別の町で叫ぶ若松議員 将軍KYワカマツのコスチュームをまとい、雪深い芦別の町で叫ぶ若松議員

1980年代、マシン軍団の悪徳マネージャーとして新日マットでブレイクし、アントニオ猪木らを大いに苦しめた将軍KYワカマツこと若松市政(いちまさ)。現在、閉塞する故郷を救うべく、北海道芦別市議会議員として辣腕(らつわん)を振るう若松を現地で直撃した!

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少年時代を過ごした北海道芦別市の市議を務めて4期目になります。初めて立候補したのは1999年。芦別はかつて炭鉱の町として栄えましたが、石炭から石油の時代に移行すると観光の町を目指しました。

バブル期の90年に「カナディアンワールド」というテーマパークをつくったんですが、これが大失敗。今でも市の一般会計から毎年1億7千万円を金融機関への債務として払っているんです。明らかに当時の市長の失策なのに、誰も責任を追及しなかったんですよ。

観光事業が市民にそんな負担をかけるのはおかしい!と憤ってたら、知り合いに「来年、市議選があるよ」と教えられまして。「じゃあ俺が出るわ。故郷のためにひと肌脱ぐわ!」となりましてね。普段はフザけた男ですけど、一度、心を決めたら真っ直ぐなんですよ(笑)。

選挙活動には新日本プロレスの存在が大きな力になりました。「将軍KYワカマツ」は84年から3年間、毎週テレビのゴールデンタイムに登場してましたから、「あの若松さんなのか!?」とみなさん記憶されてまして、初めての選挙から当選することができたわけです。新日本に出ていなければ、おそらく今の自分はないでしょうね。

プロレス流トレーニングで高齢者の健康増進!

 当選回数は4回を数えた。現在、芦別市議で唯一の無所属議員だ 当選回数は4回を数えた。現在、芦別市議で唯一の無所属議員だ

将軍KYワカマツとして私はマシン軍団を率いましたが、ひとりだけ自分からマスクを被りたいと名乗り出た男がいます。ジャイアント・マシンことアンドレです。

実はその後、彼がWWFに移籍するとき「一緒にニューヨークに行こう」と声をかけてくれたんです。若松を男にしてやろうじゃないかと思ってくれたのかもしれませんが、国際プロレス時代からお世話になった吉原功さん(当時、新日プロ顧問)や永里高平さん(当時、新日プロ専務)への恩義がありますから、私は日本に留まりました。

私はもともと格闘技の素養もなく、リング設営など裏方の仕事をしながら念願のレスラーになりました。国際の先輩たちの厳しいしごきに耐えられたからこそ、無所属、無会派、素人同然で入った政治の世界でもやっていけるのかもしれませんね。

地方政治の現状は過疎化、高齢化、産業の空洞化と問題が山積み。芦別は人口約1万6千人のうち40%以上が65歳以上の高齢者です。私が特に力を入れているのは福祉や医療、孤独死の防止。プロレスで培ったトレーニングから高齢者の健康増進に役立つメニューを考えて指導をしています。

芦別にも郷土思いの立派な人がいまして、北日本精機株式会社というメーカーの会長などからは盛んに寄付金をいただいています。その中から消防自動車を購入したり木質バイオマスの事業を始めたり。尊敬すべき行為ですし、私も宝くじに当たったりしたら全額を寄付して、市民のために役立てたいなと淡い夢を抱いております(笑)。

市議の仕事は市民の暮らしと密接しています。たとえば北海道では冬場の除雪は重要な問題ですが、ひとり暮らしのお年寄りはままになりません。連絡を受けると、私自身が道具を積んで行って雪除けをしたりします。「いや~助かったわ!」と感謝されると、市会議員でいて良かったと感じますね。

■将軍KYワカマツ(しょうぐんKYワカマツ) 1942年生まれ、北海道函館市出身。本名、若松市政。国際プロレス、カナダ・カルガリーを経て、84年、新日本に登場し悪徳マネージャー「将軍KYワカマツ」として活躍した

■『燃えろ!新日本プロレス』vol.67(2014年5月8日号)に掲載 http://weekly.shueisha.co.jp/moero/main.html

■『詳説 新日イズム 完全版』も絶賛発売中! http://wpb.shueisha.co.jp/2014/10/09/37069/

(取材・文/長谷川博一 撮影/江本秀幸〔Glaretone〕)