“暗黒期”といわれた2006年にIWGP王座に初戴冠。今やプロレス界のエースとして君臨する棚橋

これを観に行くまで年が明けない! “プロレスファンの初詣”新日本プロレスの1月4日東京ドーム大会が近づいてきた。

2000年代中期の苦境を乗り越え、今や「新黄金期」といわれる新日本。90年代のようにドームを5万人の大観衆で埋める日も近い!? 

そこで、人気を牽引する新日本のトップ3選手が、思い出の1・4を語った。第1回は“100年に1人の逸材”棚橋弘至が登場!!

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―プロレスファンだった時代に、思い出深い1・4といえば?

棚橋 僕は岐阜県生まれで大学(立命館)は京都でしたから、東京の大会には頻繁(ひんぱん)に行けたわけではなくて。初の東京ドーム観戦は1995年10・9の新日本vsUWFインターナショナルとの対抗戦ですが、1・4はそんなに行ってないかな。

―ドーム大会史上最大のハプニングといわれる99年の橋本真也vs小川直也はどうですか?

棚橋 それは生で観てます。同じ岐阜県出身の橋本さんを応援してましたが、あの試合は僕の考える「プロレス愛」とは相いれない一戦でしたね。プロレスラーは強さだけでトップに上がっていくわけではない。ファンに恵まれ、対戦相手に恵まれ、試合内容で魅せて初めて認められるもの。あの試合には「愛」がなかったと思いますね。

―では、ご自身の試合で最も記憶に残っている1・4は?

棚橋 2009年の武藤敬司戦に尽きます。武藤さんは全日本に所属していながら前年にIWGP王者となり、新日本の挑戦者を次々と倒していった。僕が最後の砦(とりで)として挑戦してベルトを奪還した試合です。試合に勝つだけでなく、個性や存在感でも武藤超えを果たすにはどうしたらいいか? 悩みに悩んでリングに上がった。僕のレスラー人生の節目の試合でしたね。

あのときは僕の素晴らしい閃(ひらめ)きも生まれました。大会前の年末に開かれた記者会見で、僕は初めて「100年に1人の逸材、棚橋弘至です!」と言ったんです。普通、選手のキャッチコピーはテレビ局などがつけるものですが、自分でコピーを考えたのはおそらくプロレス史上僕が初めてでしょう! 言った瞬間、会見場はシラーッとしてましたが(笑)、言い続けていれば定着するんです。今や各業界、逸材だらけじゃないですか!

2009年の1・4。武藤敬司の足4の字固めを耐える棚橋。必殺技ハイフライフローで念願の武藤超えを果たした

「ドーム撤退」を自ら提案したことも……

―00年代中期は観客動員が減少し苦しい時代でした。この頃、ドームから撤退しようとは思いませんでした?

棚橋 思いましたね。僕自身も「もうドームにこだわらないで身の丈に合った興行をやろうよ。両国国技館とかワンクラス小さめの会場を満杯にするほうを選ぼうよ」と提案していました。シリーズの地方会場はホントに寂しくて、リングサイドは4列目までしか席が設置されてないなんてこともありましたから。

でも、05年にユークスさんが新たな親会社となり新日本は潰(つぶ)れるのを免れ、恒例の1・4は続けていくという英断を下した。今となってはよかったですよ。一度でも穴があくと1・4の神通力が衰えてしまいますからね。

―来年の1・4の意気込みを。

棚橋 棚橋、中邑、オカダがトップ3として一線に並んでると思ってるでしょ? 比べてもらっちゃ困ります。新日本プロレスは実は「棚橋1強」なんです! もちろん試合内容で満足させつつ、いかに観客の期待を上回るものを魅せるか……ドームは棚橋がもっと巨大化する舞台になりますよ。今度の1・4は日曜日、地方のファンも来やすいでしょう。試合が長引いたら僕の勝利のエアギターはショートバージョンでお届けします(笑)。

(取材・文/長谷川博一 撮影/平工幸雄)

取材は練習後だったが、疲れを見せずドーム大会を熱く語る棚橋

■棚橋弘至(たなはし・ひろし)1976年生まれ、岐阜県出身。2006年にIWGP王座に初戴冠し、新日本を牽引してきたプロレス界のエース。IWGP最多防衛記録(11回)を持つ。試合後には勝利のエアギターと「愛してま~す!」で観客に大サービス。2014年度の「プロレス大賞」MVP受賞

●週刊プレイボーイ50号「棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカが振り返る1・4激闘史」より

●明日は、【第2回】中邑真輔編を配信予定!

●『WRESTLE KINGDOM 9』2015年1月4日 東京ドーム 14:30開場 16:00開始予定【IWGPヘビー級選手権試合】棚橋弘至(王者)vsオカダ・カズチカ(挑戦者)【IWGPインターコンチネンタル選手権試合】中邑真輔(王者)vs飯伏幸太(挑戦者)【NEVER無差別級選手権試合】石井智宏(王者)vs真壁刀義(挑戦者)【スペシャルシングルマッチ】桜庭和志vs鈴木みのる ほか、全9~10試合予定詳細はコチラ【http://wrestlekingdom.jp/】