幾多の困難を乗り越えながら、日本を代表するエースストライカーとして輝き続けた、柳沢敦。12月14日、仙台にてそのキャリアを終えた“ヤナギ”に、後輩からメッセージが届いた。
同じく欧州サッカーも経験し活躍した、ジュビロ磐田のMF、松井大輔だ。サッカー日本代表として柳沢とチームメイトだった彼は、どんな“ヤナギ愛”を語ったのか?
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人も、ボールもつなげられる。それがヤナギさんです。
僕が代表で初めて一緒にプレーしたのは、2005年の親善試合・ラトビア戦でした。その後、ヤナギさんのおかげで初ゴールを決められたアンゴラ戦は思い出深いですね。宿泊先での飯の時間で、まだまだ新参者だった僕にも気さくに話しかけてくれて、すごく優しい人なんだなぁって。
それに年下の僕が言うのもなんですけど、守ってあげたくなっちゃうようなおちゃめなところも多々ありまして。
例えば、場を盛り上げようとギャグを言うんだけど、思いっきりすべったり(笑)。ヤナギさんがメッシーナに所属していたとき、空港で財布を盗られてしまったり。まさか自分のチームのホームタウンでそんな目に遭うなんてね…。天然入ってるだけに、チームの誰からも気にかけられていたし、愛されてました。
でも、そんなほんわかとしたキャラとは裏腹に、ひとたびピッチに立てば、ヤナギさんほどありがたい存在のFWはいなかったです。
起点をつくる、相手のDFとDFの間のスペースを持ち去る、裏に抜ける。僕ら中盤からすれば、理想的な動きを完璧にやってくれるんです。一見、華やかなプレーではないけど、チーム全体のことを考えて、絶えず汗をかいていた。
コアなサッカーファンに支持されるのはよくわかるし、僕もヤナギさんのプレーはたまらん!と感じていたひとりでした。
ヤナギさんが今後、どのような道に進むのかわかりませんけど、仮に指導者を選択されるとしたら、その人柄についてくる選手は多いんじゃないかと思います。ヤナギさんならではの、ボールの受け手と出し手をしっかりつなげるプレースタイルのように、人間関係においても確実に連携を取るっていう。
僕も、何かヤナギさんから頼まれごとをされたら喜んで協力するつもりです。
(取材・文 高橋史門)
■週刊プレイボーイ1・2号(12月24日発売)「柳沢敦 引退後初ロングインタビュー」より(本誌では、柳沢の独占インタビューほか本山雅志、興梠慎三からのメッセージを独占掲載!)