まさかの「一転無罪主張」が、韓国でも注目を集めている。

昨年、仁川(インチョン)アジア大会(韓国)で起きた「日本代表の競泳選手によるカメラ窃盗事件」。競泳・男子50m、100m平泳ぎに出場した冨田尚弥(25歳)が9月25日、競泳会場で韓国人記者の約800万ウォン(約83万円)相当のカメラを盗んだとして略式起訴、その4日後に罰金100万ウォン(約10万円)を払って保釈された事件だ。

冨田は地元警察の取り調べに対し「カメラを見た瞬間、欲しくなった」と供述し、自身も帰国の折、韓国の空港で会見を開き「このたびは大変お騒がせして申し訳ありません」と謝罪を行なった。

ところが、その後、昨年11月に日本で再び会見を開くと「知らない人がカバンにカメラを入れた」と一転無罪を主張。そして今年1月12日に韓国での初公判に臨んだのだ。

日韓両国約50人のメディアが集まるなか、冨田は約20分間にわたり自身の潔白を訴えた。その趣旨は次のようなもの。

「日本代表選手として大会に参加した自分がカメラを盗む理由がない」

「カメラにもともと興味がない。レンズとカメラ本体の取り外し方も知らない」

さらにはこんな発言も。

「もともと韓国にいたときから無罪を主張していた。立場は変えていない」

この初公判について現地ではKBS、MBCなど大手テレビ局のニュース番組でも取り上げていたが、果たして韓国国内の反応はいかに?

「冷ややかな目で見ている、というのが実際のところです」(一般紙記者)

韓国人弁護士は無罪の確証があって引き受けたのか?

アジア大会を取材したスポーツ紙の記者もこう語る。

「正直なところ、笑ってしまいます。彼は防犯カメラにも映っていて(一度は)自白もしたのでしょう? これを覆(くつがえ)すなんて…」

また、カメラを盗まれた記者が在籍する通信社の広報担当者は以前から「ノーコメント。捜査段階ですべて話をしたため警察側に話を聞いてほしい」という立場ながらも、こんなホンネを漏らしている。

「韓日間の友好関係を考え、穏便かつ迅速に話を処理したのですが…」

一方、韓国版『2ちゃんねる』ともいえる保守系巨大掲示板サイト『イルベ』はどうか?

冨田の初公判後、新たに立ったスレッドを見ると、やはり「何をいまさら」という冷ややかな声が目立ち、予想どおり?「歴史問題と同じ。日本人は間違いを認めない」というものもあった。

だが、なかには一転無罪となることを心配するような「冨田の韓国人弁護士は無罪になるという確証があって仕事を受けたのだろうか…」というカキコミも。

今後の裁判の争点は事件現場の防犯カメラ映像の真偽となる。逆にいえば、事実はそこにしかない。

昨年9月に冨田の罰金が確定したのは、JOC(日本オリンピック委員会)関係者同席のもと、本人が映像確認をして自身の行為を認めたことが大きい。

ところが、冨田は今回の初公判後、記者団に「(映像をキャプチャーした)写真は見た。しかし、自分なのか違う人なのかわからなかった」と発言している。

次回の公判は2月2日。検察側が提出した防犯カメラの映像が公開されるといわれているが…果たして、真実は!?

(取材・文/吉崎エイジーニョ)