幼少期からの憧れ、ブルース・リーのポーズをきめる船木誠勝 幼少期からの憧れ、ブルース・リーのポーズをきめる船木誠勝

精悍なマスクと肉体美で、俳優としても活躍する船木誠勝。「映画は人生、人生は映画」と語る船木の心に残るアクション映画とは?

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時間さえあればDVDを借りて映画を観ています。一番観ていたのはパンクラス時代で、年間250本以上は観てましたね。オフの時なんて三度の食事の間に2本ずつ、一日6本とか(笑)。いろんなジャンルを観ますが、やっぱり自分は格闘家なので、アクション映画の肌と肌を合わせる闘いが好きです。

ベスト3を挙げれば、1位はなんといっても『燃えよドラゴン』(1973年)。幼稚園の頃に映画館で観た初めての映画でもあります。ブルース・リーは永遠の憧れで、この人に倣(なら)って大きくなろうと心に誓いました。子供の頃は、ほうきの柄(え)を切って棒を2本つくり、穴を開けてチェーンを通し自家製ヌンチャクをつくって練習してましたよ。

ブルース・リーの名言「考えるな、感じろ」。その奥義を会得(えとく)するのは難しいですが、闘っているとその通りだと感じます。試合中に考えてしまうと体が止まるんですよ。調子のいい時は自然に体が動き、相手の動きに反応するだけでうまくいきます。

アクションとはちょっと違いますが、『ターミネーター』(84年)はよくできた映画です。殺人ロボットのターミネーターも、抵抗軍の兵士も共に未来からやってきて、兵士は命を守ったヒロインと恋に落ちるという、凝ったストーリーが秀逸ですね。シュワルツェネッガーはボディビルの世界大会で優勝した頃から知っていて、彼が最初にブレイクした『コナン・ザ・グレート』(82年)も観てました。

ヒクソン戦で死んでしまえば僕も伝説になれた?

最近の作品では『レスラー』(08年)がよかったですね。ミッキー・ローク扮するプロレスラー、ランディにはかつて華やかな黄金時代があって、今は傷だらけのインディーのレスラー。最後のシーンが印象的ですけど、試合中に死ねたら、それも本望なのかもしれません。きっとランディ本人も満足してるんじゃないかな。

僕もヒクソン・グレイシー戦(2000年)の時に死んでしまえば、伝説になれたかもしれないですね。今はできる限りリングの上で闘っていたい気持ちでいますが…。こうして自分にとって大事な映画を挙げてみると、人間の生死について考えさせられるものばかりですね。

僕はこれまで俳優としてもいろんな映画やドラマに出演させてもらってますが、アクションで忘れられないのは映画『真説 タイガーマスク』(04年)。

自分がタイガーマスク役で、憧れの佐山聡さんから直接、動きの指導を受けました。リング上での撮影は2日間でしたが、その間、あの初代タイガーの動きを一日中、何十テイクもやるんですよ。あまりにハードで、しばらくタイガーの試合は観たくなかったですね(苦笑)。

新日本時代、ジャッキー・チェンとエキジビションマッチをやるという話もありました。当時、自分はイギリスにいて、UWFに移籍しようか揺れていた時期で(89年)、猪木さんの遣(つか)いの人が来て「もし新日本に残ってくれたら、こんなチャンスがあるよ」と言われました。

でも、例えば『酔拳』のジャッキーとどう闘ったらいいか、全然イメージがわかないんですよ。そこで山田(恵一)さんに相談したら「プロレスラーが俳優と闘って何になるんだよ!」と一喝されて目が覚めました。それでジャッキー戦は丁重にお断りして、自分はUWFに移籍することになったわけです。

■船木誠勝(ふなき・まさかつ) 1969年生まれ、青森県出身。新日本プロレス、第二次UWF、パンクラスなどを経て、現在、WRESTLE-1所属。俳優としても『力道山』『ゴジラ FINAL WARS』など多くの映画やドラマに出演

(取材・文/長谷川博一 撮影/平工幸雄)

■『燃えろ!新日本プロレス』vol.63(2014年3月13日号)に掲載 http://weekly.shueisha.co.jp/moero/main.html

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