日本サッカー協会(以下、協会)によるポスト・アギーレの日本代表監督選びが、いよいよ佳境に入っている。

各メディアが伝える、協会がリストアップしたとされる次期指揮官候補は、かつてJリーグで指導、あるいはプレーした経験がある、もしくは現在フリーの立場にある面々の名前ばかりで、“間に合わせ人事”のにおいもプンプンするのだ。

協会は3月に控えるチュニジア戦、ウズベキスタン戦からの指揮を念頭に置いているため、経験値や日本サッカーへの理解と、すぐに契約できるか否かを考慮しながら交渉に当たっている様子。しかし、そもそも興行的要素が強い親善試合のために、焦って新監督を決める必要があるのか?

3月の2戦は暫定監督で臨み、欧州各国リーグの終了する4、5月まで待てば、日本代表とフィットしそうな意外な指揮官が、現在のチームから離れる可能性もある。ここにきて、そちらに方向転換する動きもあるようだが…。

であれば、かつてザッケローニが日本代表監督に就任した際、直前まで有力候補と目されていたペジェグリーニ(マンチェスター・シティ)あたりだって、オファーできるかもしれない。クラブとの契約はまだ1年残っているようだが、決して実現不可能なわけでもなさそうなのだ。

大阪在住のイングランド人サッカーライター・翻訳家のベン・メイブリー氏が言う。

「シティの体質からして、あれだけの選手をそろえながら今季リーグ優勝できなかったとなると、監督を更迭(こうてつ)する確率はかなり高いでしょうね」

ベテランサッカージャーナリストの後藤健生(たけお)氏もうなずく。

「ペジェグリーニは手持ちの選手を見極め、現実的なサッカーをする監督。しかも、いろいろなチームで指揮を執ってきているから、攻守にわたって引き出しの数が多い。彼が来てくれるのなら、大歓迎ですよ」

メイブリー氏が提案する裏ワザ人事

一方、メイブリー氏は、こんな裏ワザ人事も提案する。

「実は僕は、世界中のあらゆる候補の中で、日本の監督にはストイコビッチがベストだと思っているんです。日本サッカーを熟知し、選手を引っ張れるカリスマ性があり、ファンからの人気も高い。

ただ、現役時代はW杯で8強入りしているものの、名古屋以外での監督経験がないのが最大のネックなのですが、それを補うため、カルロス・ケイロス(イラン代表)をアシスタントコーチにつけてみては?

彼も元名古屋監督なので日本サッカーに明るいのはもちろん、マンチェスター・ユナイテッドでファーガソン監督のアシスタントをしていた時は、実質的なチームづくりを任されていたほどの理論家です」

ケイロスはブラジルW杯でも、選手個々の能力では参加国中最低に近かったイランに、堅く、組織的な守備を植えつけた実績がある。イランとは18年まで契約を延長したばかりだが、解除の違約金はさほど高く設定されていない。

「ピクシーを看板にして、裏で仕切るのはケイロスっていうコンビ、ぜひ協会に検討してもらいたいですね」(メイブリー氏)

いずれにしても、焦らずじっくり腰を据えれば、いろいろな可能性が拓ける。協会には、本当に日本を強くしてくれる監督を選んでほしい。

●週刊プレイボーイ9号(2月16日発売)「“ポスト・アギーレ”、本当にオファーすべき大物監督の名前!」より(本誌ではこの他にも監督候補について検証!)