いよいよ今週末に開幕するJリーグ。今季の大きなトピックとして、「前後期2ステージ制の復活」「ポストシーズン(チャンピオンシップ)の導入」という大会方式の変更が挙げられる。
まず各ステージの1位チームおよび年間勝ち点2位、3位チームの合計4チームによる一発勝負のトーナメントを実施。勝ち上がったチームが年間勝ち点1位のチームとホーム&アウェー方式で対戦し、年間優勝チームを決めるというものだ。
率直に言って、わかりにくいね。一般層はもちろん、サッカーファンの中にも、ポストシーズンの仕組みをまだ理解していない人がたくさんいるはずだ。今さら言っても仕方ないけど、せっかく2005年に“世界の常識”である1シーズン制を導入したのに、どうして逆戻りをするのだろう。
Jリーグ側の言い分は、「シーズン中にタイトルのかかる“ヤマ場”をより多くつくることで、テレビの地上波中継などの露出を増やし、サッカーファンの裾野を広げたい」というもの。また、大会方式の変更で10億円の増収も見込めるそうだ。
確かに、Jリーグは観客動員数でもテレビ放映権の販売でも苦戦している。先日、観戦者の平均年齢が初めて40歳を超えたという調査結果も発表された。なんらかのてこ入れが必要なのは事実。目先の10億円という収入に飛びつきたくなるのも仕方がない。
それでも、個人的には2ステージ制の復活には違和感しかない。
20年以上前のJリーグ創設当初は、2ステージ制とVゴールというローカルルールを採用し、大いに盛り上がった。サッカーに注目してもらうための仕掛けとしての意義があった。
J1のチーム数を減らす手も
ただ、当時と今では状況がまるで違う。日本人もサッカーに詳しくなった。今や欧州各国のリーグ戦がテレビで見られるんだからね。世界の主なリーグで2ステージ制+ポストシーズンを採用している国なんてないし、「わかりにくい」と反発するファンが多いのも当然だ。
かつて02年に磐田が2ステージとも優勝したときは、ポストシーズンのチャンピオンシップは開催されなかった。でも、今季からの新方式では、たとえ同じチームが2ステージとも優勝し、年間勝ち点でも2位に大差をつけたとしても、チャンピオンシップを行なうというんだ。無理があるよ。興行優先にも限度がある。そのチームが最終的に年間優勝を逃したら、さすがにしらけるね。
また、スポンサーがついて、地上波中継が増えても、肝心の試合が面白くなければなんの意味もない。日本人にも外国人にも目玉となるスター選手がいない現状にあって、地上波中継さえ増えれば、自然に人気も回復すると考えているのかな。そんな甘い考えなら、数年もたたないうちに、スポンサーに見捨てられ、中継も視聴率が取れずに打ち切られるだろう。本当に取り返しのつかないことになる。
リーグのレベルを上げて、魅力のあるゲームを提供する。その本質を忘れて、小手先の改革に走っても一時しのぎにしかならない。
各クラブに目玉となる選手を獲得する意思も予算もないなら、思い切ってJ1のチーム数(18チーム)を減らし、リーグ全体のレベルアップを図るという手もある。そういう努力や工夫も忘れてはいけないよ。
(構成/渡辺達也)