リオデジャネイロ五輪のアジア1次予選が開幕する(3月27日~31日、マレーシア)。それに先立ち、U-22(22歳以下)日本代表がU-22ミャンマー代表との親善試合(11日、千葉)を行なったんだけど、まったくひどい試合だったね。

レベルの差は大きく、日本は前半からゴールを量産し、終わってみれば9-0の大勝。ミャンマーには失礼だけど、大会前の大事な時期にわざわざお金(強化費)と時間を使って、なぜあんな試合を組んだのだろう。世間に「U-22代表は強いんだ」と錯覚させたかったのかな。意味がわからないよ。大学生と練習試合でもしたほうが、よほど強化になった。

もし、あの試合で本当に強化になると思っているなら、日本サッカー協会の技術委員会は全員辞めたほうがいい。

まあ、1次予選の相手はマカオ、ベトナム、マレーシアとすべて格下なので、全勝で通過するだろう。

でも、問題はその後。来年1月の最終予選(カタール)に向けては不安だらけだ。

この世代は昨年1月のU-22アジア選手権、昨年9月のアジア大会ともに準々決勝で敗れるなど、これまでアジアの舞台で結果を残せていない。それにもかかわらず、格上との強化試合を組んでこなかった。今年2月にはアウェーでシンガポールと対戦しているけど、8-1で勝っている。相手のレベルはだいたい想像がつくよね。

これが本当にリオ五輪を目指すための準備といえるのかな。ロンドン五輪で、韓国に負けて銅メダルを逃した悔しさはもう忘れちゃったのかな。「今度こそメダル」という気持ちがまったく伝わってこない。

全体的に小粒でタレント不足

また、所属しているクラブでレギュラーの座を確保していない選手が多いのも気がかり。特に攻撃陣は深刻だ。

ミャンマー戦で4得点ずつ決めた鈴木(新潟)と中島(FC東京)は、その4日後、J3に特別参加しているJリーグ・U-22選抜の一員として相模原戦にそろって先発出場したけど、まったくいいところがなく、試合も0-3で完敗。U-22代表で9番と10番を背負うふたりがJ3のチーム相手に1点も決められない。残念だけど、それが現実。

五輪本大会はもちろん、アジア最終予選でもおそらく相模原より強い相手がいる。だからこそ、“興行”優先の意味のない親善試合なんてやっている場合じゃないんだけどね。

アジアの五輪出場枠はW杯より少ない3。日本は1996年のアトランタ五輪以降、5大会連続で本大会出場を果たしているけど、このままだとメダルどころか予選突破も危ない。

もちろん、欧州でプレーする南野(ザルツブルク)、久保(ヤングボーイズ)が加わることで多少変わってくるのかもしれないという期待はあるよ。ただ、いずれにしても全体的に小粒でタレント不足なのは明らか。

世界を見渡せば、20歳前後ですでにA代表でバリバリ活躍している選手はたくさんいる。22歳以下といっても、サッカーの世界では決して若くはないんだ。

だから、U-22代表の選手たちにはもっとレベルの高いプレーを求めたいし、現状に満足せず「俺は世代別の代表なんかじゃなくて、今すぐA代表でプレーしたいんだ」という欲やプライドを持って1次予選に臨まなければいけない。ぜひ僕を見返すような圧倒的なプレーと結果を見せてほしい。

(構成/渡辺達也)