前回優勝した1998年以来、17年ぶりの貯金10(5月25日現在、以下同)! 本拠地・横浜スタジアムで10連勝! 51年ぶりの7カード連続勝ち越し!

…昨年まで9年連続Bクラス、12球団で唯一CS(クライマックスシリーズ)に出場したことのないDeNAの勢いが止まらない。これは“春の珍事”か? いや、どうやら本当に強いチームになりつつあるようなのだ。

ここまで48試合のうち、実に19試合が1点差ゲームで、そのうち13試合をものにしている。さらに、29勝のうち15勝が逆転勝ちと、しぶとさも抜群だ。

守備面も大きく向上している。昨年は12球団で唯一、3桁の失策数(116)だったが、今年はここまでわずか28個。このペースならシーズン終了時で84個という計算になり、これは昨年リーグ最少だった巨人の71個に及ばないものの激減といえる数字だ。

「勝っても負けても大味だった昨年までの戦い方とはまったく違う。他チームのもたつきもありますが、ここまでは堂々の首位といっていいでしょう」(スポーツ紙デスク)

それを支えているのは伸び盛りの若い選手たちだ。打線では現在、打率、ホームラン、打点とリーグトップの三冠王で4番の風格さえ漂わせてきた筒香(つつごう)。そして投手では新人の山崎康が抑えにハマり、やはりリーグトップの17セーブ(うち9つが1点差での勝利)を挙げている。

「特に、山崎康の抑え起用は中畑監督のヒットです。昨年まで彼を指導していた亜細亜(あじあ)大学の生田勉(つとむ)監督から『性格は抑え向き』と聞いて、まだ早いというコーチ陣の反対を押し切り、抑えに抜擢(ばってき)したんです」(チーム関係者)

また、優勝チームにはつきものの“ラッキーボーイ”も生まれている。ここまで1番の石川が初回にヒットで出塁した15試合は、なんと14勝1敗。5月19日のヤクルト戦に敗れるまで14戦全勝だったのだ。

やけに冷静な中畑監督

結果が出続けていることで、チームの結束力も例年になく高まってきているという。5月20日のヤクルト戦で2勝目を挙げた大ベテランの三浦は「CSに出場したことのないウチの選手は勝つことに飢えている。俺も通算200勝より優勝が欲しいよ」と、熱い思いを吐露している。

そしてもうひとつ、あまり知られていない強さの秘密がある。チームが「絶好調」にもかかわらず、あの中畑監督がやけに冷静なのだ。

「新聞やTVは、中畑さんのノリのいいキャラを使いたがるので、今もおちゃらけたイメージがあるかもしれません。しかし、実は舞台裏では全然違う。今年はいくら勝っても浮かれず、TVカメラの前でガッツポーズを演じた直後でもクールに試合を振り返っているんです」(前出・スポーツ紙デスク)

このまま絶好調が続くはずはない。特に夏場は、屋外の暑いハマスタはハンデになる。その時、どう戦うか、今から想定しておかないと…などなど、今から先を見据えて次の手を探っているという中畑監督。これはファンにとって何より心強い。

「交流戦はシーズン前半の大きなヤマ場ですが、DeNAは昨年も勝ち越している。やっぱり追い風が吹いている感じがします」(前出・スポーツ紙デスク)

日に日に高まる横浜のファンの期待ーー。苦しい夏場を越え、17年ぶりの“実りの秋”を迎えられるか? まずは、いよいよ始まる交流戦で大失速とならないよう期待したい。

(取材・文/和田哲也&本誌野球班)

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