昨年のシーズン後、現役続行の可能性は「ハーフハーフです」と答えた浅田真央だったが、正式に復帰を表明。

「時が経つにつれ、自然と試合が恋しくなり、演技ができた達成感を感じたい、試合に出たいと思い始めた」とのことで、。当面は練習で演技の感触を確かめながら年末の全日本選手権への出場を目指す。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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フィギュアスケートの試合はどうしてあんなに胸を締めつけられるんだろう! 優雅で華麗でキラキラしているのに、とても切羽詰まっていて、祈りにも似た執念を感じるのです。

多くの選手が家族ぐるみで経済的に追い詰められながら世界を目指しているのは知られているけど、そんなとてつもない責任を薄いエッジに乗せて笑顔で滑るしんどさは、あの場所に立った人にしかわからないのでしょう。

ソチ五輪で見た真央ちゃんの涙は、だからあまりにもたくさんの思いが詰まっているような気がして、フィギュアスケートに詳しいわけでもない私ですら、涙なしには見られなかった…。

私生活をすべてスケートに差し出して、常に人と比べられる場所に居続けるのはどれほど不自由なことか。それでも彼女は戻ってくるのですね。

姉の浅田舞さんは、美しい写真集で週プレでも大人気! 一方、真央ちゃんには日本中が「優等生であれ」と期待しているようで、ひとりの24歳の女性としては息苦しくないのかと心配でもあります。スケートが何より好きな真央ちゃんが、スケートより好きな何かを見つける日を見てみたい気もするのです。

●小島慶子(こじま・けいこ)タレント、エッセイスト。人生初のスケート体験は一昨年の冬。「30年ぶり!」とはしゃいで滑りだした直後に転倒して笑顔が消えた熟年女性を間近に見て氷の怖さを知る。好きな選手はジョニ子とライサチェク