5月9日に最下位に転落して以来、Bクラスが定位置になってしまった阪神。5月以降に最下位になるのは2011年以来、4年ぶりのことだ。交流戦が始まって4連勝と盛り返すかにも見えたが…。
特にヒドいのが、昨年の首位打者マートン(ここまで打率2割4分6厘)と昨年の最多勝メッセンジャー(同3勝5敗)。ともに無気力とも見えるプレーが目立ち、関西メディアから叩かれまくっている。
「マートンは『自分だけストライクゾーンが広い』と、審判に対する被害妄想にとらわれてやる気を失っている。メッセンジャーに至っては、別人のように太ってキャンプイン。あの時点で今年はダメだと思いました…(苦笑)。それでも彼らは『自分たちを使わなきゃ勝てるはずがない』と首脳陣をナメ切っている。どちらも来年まで契約があり、クビの心配がないこともマイナスに作用しています」(関西のテレビ局関係者)
本来ならそんな選手はバッサリ切り捨て、意欲のある若手を使うべきだが、和田監督にその胆力はない…どころか、なぜか若手にだけやけに厳しい。
「例えば、中谷を二軍から引き上げても、わずか1試合のスタメン出場で結果が出なければ外す。伊藤隼も左投手は苦手と決めつけて使わない。あの采配からは現状を打開しようという意欲が感じられません」(スポーツ紙・阪神担当記者)
外国人選手には弱腰で、生え抜きの若手には冷たい指揮官。これでは一体感など生まれるわけがない。ある野球解説者も試合前の練習を見て、「噂には聞いていたけど、ここまで弛緩(しかん)した空気が蔓延(まんえん)しているとは…」と呆れていた。
「もし本当にまだ優勝したいなら、監督交代でムードを一新する以外に手はないでしょう。でも、今の球団にはそれができない“事情”があるんです」(前出・阪神担当記者)
創設80周年記念のジレンマ
その事情とは何か? 実は今年、阪神は創設80周年のメモリアルイヤーで多くのイベントが予定されているのだ。
「そんなシーズンの途中に監督を休養させたり更迭するようなことになれば、それ自体が汚点になるという意見も根強い。だから、球団幹部は『なんとかシーズンを乗り切ってほしい』と祈るばかりなんです」(前出・阪神担当記者)
80周年だから勝ちたいが、80周年だから思い切った手を打てない。なんというジレンマ……。
「ファンの間では岡田彰布(あきのぶ)元監督の復帰を求める声が高まっていますが、球団の一部にはかつてトラブルから退団に至った彼を敬遠する空気がある。かといって、このチーム低迷期に金本知憲(ともあき)など監督未経験者を抜擢する大胆さもありません」(前出・テレビ局関係者)
ただ、6月には親会社・阪急阪神HD(ホールデイングス)の株主総会がある。もしその時期にまだ最下位争いをしているようなら監督問題を含めた球団運営がやり玉に挙げられることは確実。ファンにしてみれば、ある意味で待ち遠しい「Xデー」はくるのか?
(取材・文/和田哲也&本誌野球班)