打撃好調で高卒2年目での3割30本も夢ではない勢いだった西武・森友哉が交流戦に入って失速ーー。

とはいえ、日本ハム・中田翔の高卒2年目の年間成績が2割3分3厘、9本塁打だったことを考えると、現時点での数字がいかに立派なものかがわかる。ニューフェイスが活躍する今シーズンだが、ファンの中でも期待の存在となっており、注目は捕手としての可能性と、打撃優先のコンバートかという話題でも盛り上がる。

森の打撃については、「打てるキャッチャー」として長年ロッテで活躍した里崎智也氏も太鼓判を押す。

「高卒2年目であれだけの成績を残しているのはすごいと思いますよ。右足を上げてからのタメと、バットのトップ位置をつくるのがうまい。だから、体を大きく使った速いスイングができるんでしょうね」

身長170cmと小柄ながらホームランを量産できるのは、パワーを伝え切る高い技術があってのことなのだ。

ただ、大阪桐蔭(とういん)高校時代に阪神・藤浪(ふじなみ)との黄金バッテリーを見た野球ファンとしては、「キャッチャー・森」も見たい。今年は開幕以来、一度もマスクをかぶっていないが、それにはどういう理由があるのか?

「DHとしてあれだけ打ってチームも好調ですし、炭谷(すみたに)という正捕手もいますからね。田邊(たなべ)監督としては、キャッチャーをやらせて打てなくなるのが一番困る。優勝するために打線を厚くするなら、いっそ森を外野などにコンバートさせて、打撃のいい外国人をDHに入れるという手もありますし」(里崎氏)

その前兆かはわからないが、DH制のない交流戦のセ・リーグ球団主催試合でも、森はキャッチャーではなくライトで起用されている。西武は高木大成(たいせい)や和田一浩(現中日)をコンバートさせた過去があるだけに「またか…」と思うファンも少なくないだろう。

「キャッチャーとして育てたいなら打撃が好調な今こそマスクをかぶらせて経験を積ませないとダメです。打てなくなってからキャッチャーをやらせても、なんの魅力もない選手になってしまう。それなら守備力に勝る炭谷を正捕手にしたままのほうがいいですから」

打撃が好調な今こそマスクをかぶらせるべき

打撃の調子を維持しつつ、キャッチャーとして育てる…。里崎氏が監督なら、どんな手法をとるのか?

「僕なら基本はDHで使いながら、週1でキャッチャーをやらせます。一軍の実戦のプレッシャーの中で経験を積み、結果を残していかないと自信を持つこともできませんから」

確かに、これなら森がリード面に頭を悩ませて打てなくなるリスクは低くなる。しかも、森がマスクをかぶる日は炭谷を休ませることができるのだ。田邊監督、今からでもこの起用法を試してみてはいかがでしょうか!

「まあでも、結局は本人次第ですよ。森が西武や日本を背負うキャッチャーになりたいと思っていることが大前提。『もうキャッチャーはいいや』と思っているのなら、野手をやったほうが先は明るいんじゃないかと思いますけどね(笑)」

しばらく出てきていない、若手の「打てるキャッチャー」を早く見たいけど…。

(取材・文/和田哲也&本誌野球班)