アジアチャンピオンズリーグ(ACL)のベスト8が出そろい、Jリーグ勢はG大阪と柏の2チームが勝ち残った。

今季のJリーグ勢は序盤から苦戦続きで、一時は4チームすべてがグループリーグで敗退するかもしれないと心配した。でも、G大阪と柏はよく踏ん張ったね。決勝トーナメント1回戦もアウェーゴールの優位性をうまく生かして逃げ切った。

勝因はいろいろあるけど、G大阪には宇佐美とパトリック、柏にはレアンドロと、前線に決定力の高い選手がいたのが大きい。

対照的に、グループリーグで敗退した浦和と鹿島は決めるべきところで決められなかった。現在、Jリーグで首位独走中の浦和はFWの興梠(こうろき)がケガで出遅れ、新加入した選手がチームにフィットする前に終わってしまった感じだ。少しアンラッキーだったね。また、鹿島もエースのダヴィの長期故障離脱が痛かった。

今季、ベスト8に2チームを送り込んだのはJリーグ勢だけ。G大阪と柏の頑張りは素直に褒めたい。

ただ、ここで満足してもらっては困る。ここからが本当の勝負。優勝して、Jリーグがアジアで一番のリーグだと証明してほしい。“本家”の欧州チャンピオンズリーグと同じで、国際大会に優勝すれば、その国のリーグ全体のステータスも上がるからね。

特に、昨季の三冠(Jリーグ、天皇杯、ナビスコ杯)王者のG大阪にはJリーグのメンツがかかっている。日本の王者としてのプライドを持って戦わなければいけない。

宇佐美は「俺がACLで優勝させた」と言える活躍を!

ベスト8の第1戦は8月25日、もしくは26日。その前後にはJリーグの試合、翌週から日本代表の試合もある。気候も日程も厳しい中、どこまでコンディションを整えて戦えるか。ここまでくればどの相手も強いし、難しい試合になるのは間違いない。

G大阪でカギを握る選手は、やはり宇佐美とパトリックの2トップ。ここまでは素晴らしいコンビネーションを見せている。高さとパワーのあるパトリックが競り勝って、その裏のスペースへ宇佐美が抜け出す。ガンバの得点パターンであるカウンター攻撃がハマっている感じだ。このふたりが元気なら相手も簡単には止められない。

日本代表にも名を連ねる宇佐美はアウェー戦でゴールを決めるなど、ここまで勝利に貢献するパフォーマンスを見せている。Jリーグでも好調だ。同学年で何かと比較される武藤(FC東京→マインツ)よりも今季の活躍度は上。ただ、これから相手のマークはもっと厳しくなる。そこでどれだけ結果を出せるか。

昨季のG大阪は宇佐美がケガから復帰して以降、快進撃が始まった。だから、今季は「俺がACLで優勝させた」と言えるくらいの活躍に期待したいし、海外に移籍しなくてもJリーグのクラブでも成長できるということを見せてほしいね。

今年のクラブW杯は日本開催。ACLで優勝を逃しても今季のJリーグ王者が開催国枠で出場できる。でも、それじゃ悔しいよね。ぜひ、アジア王者として出場するJリーグのチームを見たい。

そのためにもメディアとサッカーファンはもっとG大阪と柏の戦いに注目し、応援してほしい。今に始まったことじゃないけど、現状の地味な扱いはちょっと残念だね。

(構成/渡辺達也)