「ゲッツ!」や「アイーン」などのパフォーマンスでもファンに親しまれたラミちゃん。通算1744試合出場、2017安打、328二塁打、1272打点はいずれも外国人選手の史上最多記録だ

開幕から2ヵ月以上経ち、交流戦も真っ盛り。新外国人選手たちの明暗もくっきり分かれてきた。

みんな力はあるはずなのに、差がつくのはなぜなのかーー。ヤクルト、巨人、DeNAで13年間プレーし、外国人選手初の2千本安打を達成した“ラミちゃん”ことアレックス・ラミレス氏(現・群馬ダイヤモンドペガサス・シニアディレクター)に聞いてみた!

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―昨年、群馬でともにプレーしたオリックスのカラバイヨが活躍していますね。

ラミ すごく嬉しいよ。だけど、実力はわかっていたから驚きはないね。シーズン終了時には3割30本100打点を達成できるんじゃないかな。

―ラミレスさんはカラバイヨにどんなアドバイスを?

ラミ 「メンタル」を改善するように言い聞かせていたよ。キャンプでオリックスとの契約が決まった直後、結果が出なかった時期も「群馬で話したことを思い出してみろ」と電話で伝えたんだ。

―なるほど。新外国人選手がキャンプやオープン戦でやるべきことはなんですか?

ラミ 首脳陣に自分の特徴をわかってもらい、「最初は悪くても5月、6月には結果が出るだろう」と思わせることかな。そうすれば長い目で見てもらえるからね。だけど、シーズン途中で補強された選手はそうはいかない。すぐに結果を出せなければ、早々に見切られてしまうから。

―4月から巨人に加入して、わずか5試合で二軍に落とされてしまったフランシスコはその典型ですね。

ラミ 他の球団ならもう少しガマンしただろうけど、巨人は特別に競争が激しく結果が重視される球団。いくらお金を使って獲得した選手でも出番は保証されないんだ。チャンスはまた回ってくるだろうけど、その時に「打てなかったらまた二軍に落とされる」と弱気にならないことだね。

もし僕がスカウトなら人間性や人柄が60%

―外国人選手が活躍するために必要な「メンタル」とはどういうものですか?

ラミ 日本の野球を見下さないこと。「レベルが低いところだ」という間違った考えでいる限り、ゲームに対する考え方や感覚の違い、日本の文化を受け入れることができないからね。それでは長い間、結果を出すことは難しい。

僕は新しく日本に来た選手と会った時、必ず「日本でどのくらいやれると思う?」って聞くんだ。「わからないな。ベストを尽くすだけだよ」と答える選手は、結構長くやれる。逆に、「30本以上はホームランを打てると思うよ」と自信たっぷりに答えるような選手は、たいていうまくいかないね。

―各球団のスカウトの皆さんは、是非ともこの質問をするべきですね(笑)。もしラミレスさんがスカウトなら、選手のどこを重視しますか?

ラミ まず見るのは人間性や人柄。球団、チームメイト、ファンをどれだけリスペクトできるかというのが60%で、身体能力やどんなプレーをするのかというのが残り40%だね。技術を教えることはできても人間性を教えることはできないから。

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ありがたいお言葉が次々と。悩める外国人選手たちは、ラミちゃんに相談してみたらいいんじゃない?

(取材・文/和田哲也&本誌野球班 撮影/五十嵐和博)

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