巨人が弱い。快調だったDeNAが12連敗と大失速したおかげで、まだなんとか首位争いをしているが、交流戦は7勝11敗と負け越し。6月24日にはついに勝率5割を割り込んだ。
もちろん、内海(うつみ)や阿部、長野(ちょうの)らの故障、村田ら中心打者の不振は大きいが、どうやら「弱さの理由」はそれだけでもなさそうだ。
「今年の原監督には、昨年までの“根拠のない自信”(苦笑)が見られません。成り行き任せの選手起用でも、当たれば自画自賛というのが魅力だったのですが、今年はそれどころじゃない迷走ぶり。『原監督がおかしい』とコーチ陣も首をかしげています」(在京キー局巨人担当)
中でも強烈だったのは「もう99%、捕手で使うことはない」と明言して一塁にコンバートした阿部を開幕からわずか7試合目で捕手に戻したこと。その直後、チームはやや盛り返したが、やはり阿部は突然の無理がたたったか、左太もも裏を痛めて4月18日に登録抹消。一度は復帰したものの6月に入ると持病の首痛が悪化し、2度目のリタイアとなった(交流戦明けに一軍復帰)。
「キャンプでは2年目の小林が“ポスト阿部”に指名されたもののオープン戦からリードに迷ってしまった。そこに打撃不振も重なり、早々に見切りをつけられたわけです。それにしても原監督の“小林嫌い”はちょっと異常。5月下旬に二軍に落とした後、上げる気配はありません」(キー局巨人担当)
球団関係者からは「小林は(原監督からすれば)もう戦力外だね」という声も…。
内外野でも、今年は若手を多く起用している。立岡(たておか)宗一郎、坂口真規(まさき)、辻東倫(つじはる・とも)、吉川大幾(だいき)…二軍戦までチェックしているマニアでなければ、顔を見てもわからないような選手たちだ。
中堅クラスの“劣化”が激しい理由は?
「立岡は代走のスペシャリスト・鈴木尚広に次ぐ俊足だし、坂口もまだ粗削りながら長打力は大田泰示(たいし)をしのぐほど。使い続ければ伸びシロのある選手たちです。ただ、肝心の原監督は彼らを“主力の穴埋め”としか見ていない。故障離脱などから主力が復帰すれば、すぐにポイです」(キー局巨人担当)
中堅やベテランの主力が結果を出しているならまだわかるが、成績も微妙。なぜ原監督はそこまで彼らを優遇するのだろうか?
「原監督は今季限りで契約切れなのですが、現時点でまだ来季以降の契約に関する水面下での打診、相談がないようです。おそらく日本一にならない限り、球団から勇退を迫られる。生き残るためには優勝しかない。本人もそう覚悟を決めています。そのため『アテになるのは実績のある連中だけだ』という思考回路になっているんでしょう」(スポーツ紙デスク)
我慢して若手を使い続けたところで彼らが育った頃には自分はいない。原監督がそう考えているとすれば、選手生命を削るような阿部の“ムチャ使い”をはじめとする中堅&ベテラン偏重も理解できなくはない。
それにしても、気になるのは野手なら坂本や長野、投手では内海ら生え抜きの中堅クラスの“劣化”が激しいこと。まだ老け込む年齢ではないはずだが、一体何が起きているのか?
「巨人は他チームに比べてキャンプから練習量が少ないなど原因についてはいろいろといわれていますが、最大の問題はやはり東京ドームの人工芝。何度か改良が加えられてはいるものの、やはり現場からは『どこよりも足腰への負担が大きい球場』といわれています。かつて松井秀喜がメジャーに行ったのも単なる憧れではなく、東京ドームではプレーしたくないという思いもあったようです」(巨人関係者)
支離滅裂な采配、若手の育たない事情、そして選手生命を縮める球場…。巨人はこのまま“暗黒時代”に突入してもおかしくなさそうだ。
*データはすべて6月24日現在
(取材・文/本誌野球班)