昨秋のドラフトで指名され、今年からプロ野球界に身を投じたルーキーは104人(育成含む)。巨人・高木勇、DeNA・山崎康など大活躍する選手がいる一方で、入団時は大いに注目されながら現在は二軍でもがいている選手たちもいる。
まず、初の京都大学出身選手として騒がれたロッテ・田中英祐。開幕一軍は逃したが、二軍でアピールを重ね、4月末のゴールデンウイーク初戦、晴れて一軍で先発デビューを果たした。ところが…。
「球の強さも変化球の切れもない。それをカバーするコントロールもない」
この厳しすぎるコメントの主は、他ならぬ伊東監督。先発で3回5失点、そこから中1日で与えられた“追試”の中継ぎマウンドでも3回4失点と、プロの壁に完全にはね返されてしまった。
「あの炎上以来、かなり自信を失ってしまったようです。そもそもドラフト2位という評価自体、本来の実力からはやや“上げ底”。地元・関西の阪神は4位、5位あたりで狙っていたようですから」(スポーツライター)
6月末から7月にかけて、NPB選抜対大学選抜やフレッシュオールスターといった“イベント試合”には呼ばれそうだが、これも話題性が評価されてのもの。本人もそれがわかっているだけにツラいだろうが、三井物産の内定を蹴ってまで飛び込んだプロの世界で、なんとかきっかけをつかもうと必死だ。
続いて、済美(さいび)高校2年時に157キロの速球を投げた楽天・安樂智大(あんらく・ともひろ)。高校時代に投げすぎで右肘を故障したこともあり、大久保監督は3月の時点で「今年の一軍起用は100パーセントない」と断言していた。
二軍ではここまで11試合に登板しているが、大半は中継ぎ。スピードも140キロ台前半にとどまるなど、かつての勇姿には程遠い。
二軍では大器の片鱗を見せる高橋
「6月19日には本拠地のコボスタ宮城で初先発し、5回7安打無失点で初勝利。ただ、いかんせん相手のヤクルト二軍が弱すぎた。内野手が足りず、捕手登録の選手を回していたような状態ですから、あまり参考にならないかと…。やはり彼は右肘に不安があるようで、腕を振れず、スピードも上がってこない。首脳陣は高校2年時のフォームに戻そうとしているようですが、まだまだ時間はかかりますね」(スポーツ紙デスク)
いずれにしろ、ようやく先発マウンドに立ち、一歩前に進んだのは事実。あの剛球は再び見られるだろうか?
最後は、前橋育英高校2年時の夏の甲子園で優勝投手となった西武・高橋光成(こうな)。かつてのエース・渡辺久信SD(シニアデイレクター)と同郷、同じ長身右腕とあって、球団は将来のエースとして大事に育てるつもりのようだ。
二軍ではすでに大器の片鱗(へんりん)を見せており、現時点で4勝。スピードも最速154キロと、早くも高校時代の自己記録を更新している。
「暴投が多かったり、試合によって大きく乱れたりと、まだ安定感には欠けますが、高校時代より体が大きくなり三振もよく取れている。もちろん新人時代の松坂(現ソフトバンク)のような完成度はなく、勉強すべきことは多いですが、ここまでは順調でしょう。もしかすると一軍の先発陣が苦しくなる夏場から秋に満を持してデビューするかもしれません」(スポーツ紙デスク)
早く一軍での雄姿を観たいものだ!
(取材・文/本誌野球班)