熱戦の幕を閉じたサッカー女子W杯。なでしこジャパンは残念ながら準優勝となったが、大会を取材した世界各国のジャーナリストたちが賞賛の声を惜しまないほどの高い評価を得た。

中でも一番人気だったのは主将の宮間だ。

「宮間の才能には本当に驚かされる! あれだけの技術がありながら、ハードワークもいとわない。両足のキックの正確さは今さら言うまでもないけど、どこにスペースがあるかもちゃんとわかっている。日本の中でも際立った存在だよ!」(地元カナダの地方紙『エドモントン・サン』のデレク・ヴァン・ディエスト記者)

「ボランチでも中盤の左サイドに入っても、宮間は大会No.1のテクニックの持ち主だ」(ドイツの公共テレビ局『ZDF』のベルント・シュメルツァー記者)

そのシュメルツァー記者はニューヒロインとなった岩渕も高く評価した。

「ケガをしていたこともあって途中出場が続いたけど、動きにキレがある。昨季はドイツでバイエルン・ミュンヘンの39年ぶりの優勝にも貢献した。身長は小さくてどこにいるんだって感じだけど(笑)、大柄な選手を負かすほどの俊敏性やスピードには驚かされたよ」

もちろん、称賛ばかりではなく、課題を指摘する声もあった。

「決定機をつくっている割には決められなかった。大野にしても大儀見にしても、決めなければいけない場面でシュートを枠に飛ばせなかった。今のチーム力をさらに高めるには決定力を改善する必要があるかもしれない」(オーストラリアのニュースサイト『the womans game.com』のアン・オドン記者)

また、前出のデレク・ヴァン・ディエスト記者はこんな指摘をする。

「日本は経験豊富な半面、ベテランが多いチーム。連戦になると体力面の不安を隠し切れなくなる」

オーストラリア監督は今後の対戦に自信

来夏にはリオデジャネイロ五輪も控えるが、そのためには来年3月開催予定のアジア予選を突破しなければならない。今大会、アジア勢は5チームが出場して、日本以外ではオーストラリアと中国がベスト8、韓国がベスト16に残るなど各国の台頭が著しい。それにもかかわらず、リオ五輪のアジア出場枠は「2」と狭き門だ。

オーストラリアのスタイチッチ監督は日本戦後、「宮間は30歳だが、ウチの主力のほとんどは21歳か22歳」と今後の対戦に自信を見せていた。

中1日や中2日の厳しいスケジュールも考えられるアジア予選の突破は、世界を魅了したなでしこといえども決して簡単ではないのだ。

果たして、なでしこジャパンはそのハードルをどうクリアするのか。彼女たちの挑戦はまだまだ続く。

(取材・文/栗原正夫)