カナダ女子W杯準優勝メンバーはたったの6人だけ! 

来年のリオデジャネイロ五輪に向けて再始動したなでしこジャパンが、実験的に若手を大量抜擢。東アジア杯初戦は北朝鮮に力負けしたものの、ベテランだらけのW杯組に代わる新ヒロインが今こそ求められている!

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先日開幕した東アジア杯(中国・武漢)に出場中のなでしこジャパン。

今大会には準Vを果たした女子W杯での先発陣が選ばれておらず、同大会で出場機会の少なかった控え組や、なでしこリーグでのパフォーマンスが評価された若手でメンバー構成されている。つまり、来年開催されるリオデジャネイロ五輪のアジア予選や本大会でのなでしこジャパン入りを争う選手の集まりで、佐々木則夫監督はメンバー発表会見の席上、チームに“チャレンジなでしこ”なる愛称を与えた。

女子W杯では結局、従来のベテランにほぼ頼りきりの戦いぶりだっただけに、東アジア杯ではイキのいい新戦力たちの台頭を期待したいところ。そこで今大会注目の選手を、おのおのの特徴やエピソードとともに紹介していこう。

DFは普段、あまり脚光を浴びないポジション。だが、村松智子(日テレ)の名前は覚えておいたほうがいい。

スポーツ紙なでしこ番記者のA氏が言う。

「クラブでセンターバックのコンビを組んでいる岩清水梓(あずさ・日テレ)を目標にしていることからわかるようにスピードは抜群。これまでは身体能力に頼りすぎ、相手アタッカーとの駆け引きでやられてしまうところがあったのですが、岩清水の守り方を学んで、裏を取られた時の対応力がつきました。日本には速さのあるセンターバックが少ないだけに貴重な存在です。佐々木監督は彼女のスピードを生かすため、代表ではサイドバックでの起用も考えているようです」

あだ名はカツオ。日テレの下部組織に入団した際、顔がテレビアニメ『サザエさん』のカツオに似ているからと、当時の監督が命名した。つまり日テレでは今、カツオとイワシ(岩清水のあだ名)が自陣ゴール前に立ちはだかっているわけだ(笑)。

続いてのMF陣ではまず、杉田亜未(伊賀)を挙げたい。吉備国際大学の一員として、なでしこリーグの試合に出場していた頃から彼女のプレーを目にしているサッカージャーナリストの後藤健生(たけお)氏が証言する。

「学生時代の杉田を初めて見た時、これはすごい選手だと思いました。とにかく、ボールテクニックがずぬけているんです」

昨年ベトナムで行なわれたアジア杯で、なでしこジャパンに初選出。今年の女子W杯直前の国内合宿にもバックアップメンバーとして参加している。うまさだけでなく、豊富な運動量も持ち味だ。

ボールテクニックがずぬけている杉田亜未

お次は、森三中の大島美幸に似ていることを自分でもネタにしている横山久美(長野)。今回ただひとり、なでしこリーグ2部からの選出となったが、2010年のU-17女子W杯・北朝鮮戦で彼女が披露した4人抜きゴールは、FIFA(国際サッカー連盟)の年間最優秀ゴール賞にノミネートされている。今年3月の国際大会(アルガルベ杯)でなでしこジャパンに初招集され、ポルトガル戦では代表初ゴールを記録。杉田同様、女子W杯直前の国内合宿にも参加した。

「彼女はU-17代表の後、U-20代表にも招集されているんですが、その頃からなぜか代表チームの中に入ると萎縮し、武器のドリブルなど横山らしいプレーを出せなくなっていたんです。ところがアルガルベ杯期間中、佐々木監督から『そんなことじゃ、もうなでしこに呼ばれなくなるぞ。もっと自分を出せ』とハッパをかけられたことで、ふっ切れた。

それが表れたのが、ポルトガル戦でのゴールです。試合後、晴れやかな顔で『自分でもやればできるんだとわかりました』と言っていましたよ。今季はリーグ戦でもすでに22ゴールを挙げ、得点ランキングを独走中と、ノリにノッています」(A氏)

東アジア杯出場メンバーには4人の代表初招集選手が含まれているが、アタッカーとしてただひとり選ばれたのが柴田華絵(はなえ・浦和)である。

「佐々木監督はメンバー発表会見でも、『浦和の右サイドで、ターンや切り返し、スピードの緩急で相手を抜き去る小気味のいいプレーを見せている。ぜひ一度代表で試してみたかった』と期待を寄せていました。身長155㎝と小柄ですが、体幹が強いので相手DFとの接触でもなかなか負けません。欧米の選手相手にどこまでやれるかは未知数ですが、アジアレベルなら間違いなく通用するはず。

なでしこジャパンの右MFといえば川澄奈穂美(INAC神戸)の指定席となっていますが、今季の川澄はあまり調子が良くない。現時点でひとつひとつのプレーのキレを比べたら、柴田のほうが上だと思いますね」(A氏)

発売中の『週刊プレイボーイ』33号では、この他にも注目選手を厳選紹介しているのでお読みいただきたいが、彼女たちに注目するだけでも第2戦以降の楽しみ方が違ってくるはずだ!

■週刊プレイボーイ33号(8月3日発売)「若返りなでしこの新ヒロインを探せ!」より