欧州各国のリーグが開幕する中、イングランドのレスターに移籍し、今季の日本人選手の目玉ともいえる岡崎が早速やってくれた。
開幕戦のサンダーランド戦でスタメン出場を果たすと、持ち前のハードワークでチームの勝利に貢献。相手DFの嫌がるスペースを有効に突いてチャンスに絡み、守備でも相手ボールを追いかけ回した。得点こそなかったけど、この試合である程度、「プレミアリーグでもやれる」という感触をつかめたんじゃないかな。
そして、続く2戦目のウェストハム戦で初ゴール。左からのクロスにダイレクトで右足を合わせると、一度は相手GKにはじかれたボールを頭で押し込んだ。実に岡崎らしい、泥くさいプレー。ナイスゴールだね。
試合後に本人も言っていたように、早い段階で目に見える結果(ゴール)を残せたことで、しばらくはチャンスをもらえるはず。単なる1点以上の意味を持つゴールだ。
レスターは昨季、残留争いをしている。決して強豪ではない。試合運びも戦術もまずは守備をしっかりしようというチーム。FWの岡崎も守備面で果たす役割は多い。とんでもない運動量を要求されていて、まるで前線のボランチといったプレーぶりだ。
だから、もう少し攻撃に専念できる状況にならないと、今後のゴール量産は難しいのかもしれないという懸念もあるにはある。それでも、岡崎ならやってくれるんじゃないかという期待感はあるし、今後に控えるビッグクラブとの対戦でどんなプレーを見せてくれるのかに注目したい。
アスリートを芸能人と同じ感覚で扱うことには疑問
岡崎はキャラクターや発言が地味だけど、継続的に結果を残している数少ない選手。日本のメディアはもっと彼を大きく取り上げるべきだと思う。そこは少し残念。
実際、お盆休みに最もメディアをにぎわせたサッカーの話題は、岡崎のプレーではなく、なでしこジャパンの澤の結婚だった。
僕は彼女が10代の頃から知っているし、おめでたいことなのは間違いない。素晴らしいパートナーを得て、来年のリオデジャネイロ五輪に向けて、ますます頑張ってほしいとは思う。
また、日本の場合、競技環境の問題や周囲の理解不足からか、現役中に結婚をする女性アスリートが少ないので、澤が結婚して現役を続けることによって理解が深まればいい。
ただ、あそこまで過熱した報道には違和感を覚えた。いくら彼女が人気者とはいえ、アスリートではなく、芸能人とまったく同じ扱い。しかも、今は一般人である結婚相手に取材対応までさせていた。
スポーツメディアだけでなく、ワイドショーのレポーターまで駆けつけ、「プロポーズの言葉は?」「お互いになんと呼び合っている?」「子供の予定は?」などと、ひどい質問をしていた。あれは失礼だよ。
日本ではサッカーに限らず、アスリートを芸能人と同じ感覚で扱うことが多い。例えばバレーボールの世界大会があれば、事前に中継TV局のバラエティ番組にまでチーム全員をユニフォーム姿で出演させ、宣伝をさせる。
それが日本の文化だと言われればそうかもしれないし、メディアも売れるネタが欲しいからと必死なのはわかるんだけど、長い目で見て、そうしたやり方がその競技やメディアにいい影響をもたらすのか、僕は疑問だ。
(構成/渡辺達也)