まさかの「続投宣言」に、虎ファンたちから大ブーイング!?

球団創設80周年を迎えた今年、近年にない好調ぶりで夏場を越したタイガース。このままいけば10年ぶりの優勝も現実味を帯びてきた8月25日のこと。

一部スポーツ紙が「阪神・和田監督、続投へ」と報じたところ、虎ファンから悲鳴にも近い大ブーイングが沸き起こったのだ。一体、どういうことなのか?

「去年の悪夢がよみがえりました」と語るのは熱狂的な虎ファン。

「あれは忘れもしない去年の8月の終わり。首位・巨人を追う3連戦の初戦に惜敗し、タイガースの自力優勝の可能性がなくなった日でした。『和田ヘタクソ、監督辞めてまえー』『もう、つまらん采配見たないわー』と、いつものようにボロクソ言うてたんですが、翌日、なぜかスポーツ紙に和田監督の続投宣言が出たんです。

『なんでやねん! ファンも選手もやる気なくすわ!』と思ってたら、その後、チームは案の定、大失速。優勝戦線から完全に脱落しました。あれは『和田監督続投の呪い』ですわ。球団は今年も同じ過ちを繰り返すんかと、多くのファンが怒ってますよ!」

こうしたファンのイヤな予感は不運にも(!?)的中。

くしくも昨年とほぼ同時期の8月25日に「続投報道」が出ると、タイガースは1勝5敗(9月2日時点)と昨年の再現のような急失速。とうとう2位とのゲーム差がなくなり、お尻に火がついてしまったのだ。恐るべし、続投の呪い!! 虎ファンからは「ほれ見たことか!」の大合唱。

星野、岡田ら歴代の“劇薬監督”とは対照的な和田監督

和田監督といえば、就任4年目でここまで優勝なし。「個性のない采配」「若手の育成に一貫性がない」「フロントの顔色をうかがうサラリーマン」「暗い」などと、お世辞にもファン人気が高いとはいえない。なぜ、こんな時期に“禁断”の続投報道が? トラ番記者が語る。

「実はこれ、正式決定ではなく、あくまで“見込み”の話です。和田監督にはオーラはまったくないんですが(苦笑)、フロントに不満を言うこともなく、与えられた戦力で黙々と監督業をこなす“アンパイ監督”。アクが強くてフロントにも様々な要求をする星野仙一、岡田彰布(あきのぶ)といった歴代の“劇薬監督”とは対照的で、フロントからすると非常に扱いやすい。

だから、いくら人気がなくともそこそこの結果が出ている限り、フロントは『和田続投』でいきたいんです。ただし、最終決定権は坂井オーナーにありますし、2年連続の急失速でまたわからなくなってきました」

これにはアンチ和田の虎ファンも複雑な面持ちだ。

「優勝は絶対してほしいが、その結果、和田に続投されては困る…。う~ん、参った」と、なんともビミョ~な9月となりそうだ。

タイガースの急失速で再び大混戦となったセ・リーグだが、トラ番記者の見通しは決して明るくない。

「今年は夏のロードを12勝8敗と勝ち越したんですが、実はこれ、対戦相手の先発投手は裏ローテーションばかりというラッキーの賜物(たまもの)だったんです。

逆にエース級にはめっぽう弱く、巨人ではポレダに1勝5敗、マイコラスには1勝3敗とお手上げ状態。7試合も残している広島にはマエケン、ジョンソンにまったく勝てておらず、ヤクルトの館山には6年間勝利なし。9月は各チームとも表ローテで勝ちにくるでしょうから先が思いやられます…」

9日にはそのマイコラスから初勝利で競り勝つも、翌日はポレダを崩せず惜敗。再びヤクルトと同率でゲーム差なしとなった。阪神ファンの寝苦しい夜はまだまだ続きそうだ。

(取材・文/ボールルーム)

■『週刊プレイボーイ』38号(9月7日発売)より