タイガースの次期監督に“アニキ”こと金本知憲(かねもと・ともあき)氏(47歳)が就任することが有力となった。
和田豊監督(53歳)はリーグ優勝を逃した責任を取って退任することに。後任に掛布雅之氏、岡田彰布(あきのぶ)氏など大物OBの名前が取り沙汰されてきたが、結局、白羽の矢が立ったのは金本氏。球団側は契約条件などを詰めるため交渉のテーブルを準備しているという。
金本氏といえば、広島から移籍後、不動の4番としてチームに2度のリーグ優勝をもたらしたレジェンド的存在。ファンからは「アニキ」「鉄人」と親しまれるなど、今も絶大な人気を誇っている。それだけにファンも大喜びだ。虎ファンのひとりがこう期待する。
「金本は不屈の闘志の持ち主。骨折しているのに打席に立ち、ヒットを打ったシーンはホンマにすごかった。その金本が監督になったら、きっとチームもピリッと締まるはず。ここ数年、シーズン終盤になると失速していたけど、そんなみっともないこともなくなると思うで」
スポーツ紙の阪神担当記者もこううなずく。
「和田監督は選手に厳しくできない。特に主力選手には甘いんです。例えば、9月2日に4番のゴメスが練習中にドローンを飛ばして遊んでいても知らんぷり。これでは選手はやりたい放題になってしまう。
注意しないのかと和田監督に迫っても、『直接、見ていない』のひと言には呆れました。その点、金本は厳しい。その場でゴメスに二軍行きを命じるくらいのことはやるでしょう。金本が監督になれば、チームにぴりぴりとした緊張感が戻るはず。きっと阪神は強くなりますよ」
ただ、一方で懸念の声も。別の阪神担当記者が言う。
「その厳しさが空回りしないか、ちょっと心配です。というのも、金本には指導者の経験がない。猛練習で一流になっただけに、自分の理想や経験を押しつけて選手から反発を買うこともあり得ます」
メディアの餌食になる?
金本の解説ぶりを知るファンもこう本音を話す。
「同じ阪神OBの矢野(燿大[あきひろ])が理詰めの見事な解説をするのに比べ、金本はアバウト。『よくあの球を打った。偉い』だの、『集中力が大切』だの、解説がただの感想だったり、精神論だったりするんです。理論不足は明らか。コーチの経験も積んだことがないのに、いきなり監督になるのはまだ早すぎるのでは?」
さらには、阪神OBからはこんなキナ臭い囁(ささや)きも…。
「金本はあかん。以前に多額のお金をだまし取られるという金銭スキャンダルに巻き込まれたことがあるやろ? 監督になったら、当時の交友関係などをまたメディアに調べられる。週刊誌の餌食になるのは目に見えとる」
とはいうものの、9月29日のDeNA戦があった甲子園球場で、週プレ記者が阪神ファン25人に次期監督になってほしい人物のアンケートを行なったところ、金本は9票を集めて堂々の1位だった。アニキを待望する声は根強い。
球団創設80年を迎える今シーズン、優勝を誓った阪神だったが、その夢は打ち砕かれた。金本新監督が采配するアニキ野球で、再び阪神は輝きを取り戻せるのか? 注目だ。
(取材・文/ボールルーム)