10月19日、巨人の原辰徳監督が今季限りで勇退。そして高橋由伸が電撃引退、次期監督に就任することになった。

メディアでは、それまで何人かの候補の名前が挙がっていたが、中でも真っ先に取り沙汰されていたのが、巨人OBで現解説者の江川卓だった。

1987年の現役引退以来、一度もユニフォームを着ることなく解説者として過ごてきた江川。知名度は抜群だが、「現場のことは何も知らない」との声もあった。これまで何度も候補として挙げられつつ、噂のみに終わっている。今回、就任の可能性はどれほどあったのか?

野球界のことをよく知る業界通たちは、こう語っていた。

在京スポーツ紙記者C氏は、「今回はいつも以上に巨人関係者の情報統制が厳しく、一向に漏れてこなかった。本命が江川、対抗が川相昌弘ヘッドコーチ。で、確率1%くらいの超大穴で高橋由伸が引退、即監督」。

確かに、由伸の名前もいくつかのスポーツ紙では挙がっていた。しかし一方、在京スポーツライターD氏は「専任コーチ未経験で監督となると、巨人では第1次長嶋茂雄政権以来か。でも、その由伸はすでに秋季練習のプランを口にしていたり、引退する雰囲気じゃない」と否定的だった。

某スポーツ紙デスクも「もちろん、選手兼任監督は巨人じゃあり得ないよな」と語っていたように、誰もが由伸監督の可能性は薄いと読んでいたのだ。

そんな中、巨人の監督候補が話題になるたびに本人も否定、今回再び実現しなかった江川の名前が本命として今さら挙がったのはなぜ?

若い視聴者からは『江川って何者?』

在阪テレビ局関係者B氏が、そこには日本テレビの思惑がからんでいたと指摘する。

「冗談みたいな話なんだけど、江川は日テレの専属解説者でしょ。中継を熱心に見ている野球ファン以外の人にとっては、くりぃむしちゅーの上田晋也と共演しているスポーツニュース番組『Going!』くらいしか露出がない。視聴率自体は悪くないみたいだけど、最近の若い視聴者からは『江川って何者?』『上から目線で何か言ってるけど、タレント?』という声が多いらしくて(笑)」

前出のC氏もうなずく。

「それに局幹部が過剰に反応したという話だよね。現役引退が1987年だから、もうユニフォームを脱いで28年と考えれば、そういう反応も無理はないけど」

要するに、タレントではなく、「巨人の大物OB」だと視聴者に再認識させたいがために江川を監督にしたい、日テレの意向だけが雰囲気としてメディアでひとり歩きしたということか。

しかし結局、選ばれたのはまだ40歳という高橋由伸…。ライバルであり盟友の掛布雅之が阪神に復帰、二軍監督となったが、もはや巨人のユニフォーム姿ををグラウンド上で見ることはないのだろうか?

■週刊プレイボーイ44号「巨人&阪神『グダグダ監督問題』内情暴露座談会」より