最終予選までにどれだけ強豪国との強化試合を組めるかが重要!

今年最後の代表戦だったから、格下相手にスカッと勝ってほしかったけど、逆にモヤモヤとした気持ちが残ったね。

日本代表がW杯アジア2次予選のアウェー2連戦を連勝で終えた。シンガポール戦(3―0)は前半こそ良かったものの、後半は足が止まってミスを連発。続くカンボジア戦(2―0)は、逆に前半がひどかった。勝って当たり前の相手に90分間通して同じレベルでプレーできず、大きな課題を残した。

ただ、収穫がゼロだったわけではない。これまでハリルホジッチ監督は精神的に余裕がなかったのか、同じメンバーばかり起用してきた。所属クラブでのプレーがイマイチでも“不動のスタメン”をほとんどいじらなかった。その彼が今回、シンガポール戦とカンボジア戦でスタメンを8人も入れ替えるなど、多くの新戦力にチャンスを与えたのは一歩前進といえる。

シンガポール戦でワントップに起用され、先制点を決めた金崎(鹿島)は、得点シーン以外にも積極的にゴールへ向かう姿勢を見せた。相手との力関係を考えれば、2点目、3点目を取ってほしかったし、まだまだ岡崎(レスター)の座を脅かすほどではないけど、ゴールという結果を残したわけだし、鹿島でも結果を出し続ければ、再び代表に呼ばれる資格はあると思う。

2戦とも出場した柏木(浦和)は持ち味を発揮して注目された。ゲームメイク能力と正確なパスで、特にカンボジア戦は試合の流れを変えた。また、最近の日本代表はセットプレーから得点が生まれる気配がないけど、彼は可能性を感じるボールを蹴っていた。

もちろん、金崎も柏木も今回は相手が格下だからこそ活躍できた部分は大きい。決して“スペシャル”だったわけじゃない。それだけに、もう少しレベルの高い相手とやった時にどれだけできるかを一度見てみたい。

南野にもチャンスを与えたとはいえない

そのふたりとは対照的だったのが、リオ五輪を目指すU―22代表の主力の遠藤(湘南)と南野(ザルツブルク)。

カンボジア戦に先発した遠藤は、引いて守りを固める相手に苦労し、前線へのミスパスを繰り返し、前半だけで交代。経験の少なさを露呈した。

でも、同情できる部分もある。彼の持ち味は攻撃ではなく守備。守備的な相手に対して、しかも同じく守備を持ち味とする山口(C大阪)とのダブルボランチ起用は不可解。柏木など攻撃が得意な選手と組み合わせた時にどんなプレーができるのかを見たかった。

南野はカンボジア戦の後半41分から出場したけど、プレー時間が少なすぎて評価できない。A代表デビューを果たした10月のイラン戦(親善試合)でも出場は後半43分からだった。これでは彼にチャンスを与えたとはいえない。これまでたくさんチャンスをもらいながらも十分な結果を残せていない宇佐美(G大阪)や原口(ヘルタ・ベルリン)に危機感を持たせるためにも、今後の試合でもっとプレー時間を与えるべきじゃないかな。

2次予選は来年3月の2試合を残すのみ。来年9月からは厳しい最終予選が始まる。それにもかかわらず、ハリルホジッチ体制になってからは、イラン戦以外に歯応えのある強豪との対戦がないのは問題。

勝って当たり前という試合ばかりだし、新しい選手も発掘するまでには至っていない。だからこそ、日本サッカー協会が最終予選までにどれだけ強豪国との強化試合を組めるかが重要になるだろう。

(構成/渡辺達也)