クラブW杯はサッカーファンにとって、少し早いクリスマスプレゼントになるね

3年ぶりの日本開催となるクラブW杯(12月10日~20日)の開幕が迫ってきた。

今はTVをつければ欧州各国のリーグ戦を見られる時代だし、かつて欧州vs南米の一騎打ちだったインターコンチネンタル杯(トヨタ杯)時代ほどの盛り上がりはなくなった。それでも、海外の強豪クラブの試合を生で見られる機会は貴重。サッカーファンにとっては少し早いクリスマスプレゼントになるね。

注目はやっぱり欧州王者バルセロナ(スペイン)。今さら僕が言うまでもないけど、メッシ、スアレス、ネイマールの通称“MSN”を擁する攻撃陣は規格外の破壊力を持っている。その3人以外にも各ポジションにスター選手がたくさんいて、まさに世界選抜。今季は国内リーグでも欧州チャンピオンズリーグでも好調で、直近のクラシコ(レアル・マドリード戦)もアウェーで4-0と大勝している。バルセロナ史上最強のチームじゃないかな。

ただ、個人的には、そのバルセロナと決勝で対戦するであろう南米王者リバープレート(アルゼンチン。以下、リーベル)にも同じくらい注目している。リーベルは同じく首都ブエノスアイレスに本拠を置くボカ・ジュニアーズと並んで、人気、実力を兼ね備えたアルゼンチンの名門。わかりやすく言えば、リーベルが巨人でボカが阪神みたいなもの。両チームの対戦はスーペル・クラシコと呼ばれる伝統の一戦で、国を挙げて盛り上がる。アルゼンチン嫌いが多いブラジル人も、昔からこの2チームには一目置いているんだ。

南米のチームはどれだけ不利な下馬評でも相手を見上げることはない

リーベルはブエノスアイレスの高級住宅街に本拠を構え、サポーターも中流階級が多いとされる。実際、僕は10年前くらいにリーベルのホームスタジアム、エル・モヌメンタルを訪れたことがあるんだけど、周囲の環境は落ち着いていて、アルゼンチンの中では比較的治安が良かった。また、スタジアム内には下部組織の子供たちが通う学校が併設され、試合のない日には裸足になってピッチで遊んでいたのが印象的だった。

チームとしても、これまで数多くの名選手がプレーしているけど、スマートというかエリートっぽいイメージの選手が多い。古くはウルグアイの“貴公子”フランチェスコリ、Jリーグ初代得点王にもなったラモン・ディアス、少し前ならイタリアで活躍したクレスポ、日本でも人気が高かったアイマールといった具合だ。

同じブエノスアイレスでも治安の悪い地区に本拠を構え、労働者階級に人気があり、サポーターも過激で有名、マラドーナ、リケルメ、テベスといった“野生児”を輩出したボカとは何もかも対照的で面白いよね。

今のリーベルには誰もが知っているような有名選手は今年34歳になるFWサビオラくらいしかいない。でも、間違いなく好チーム。今年8月には来日してG大阪と公式戦で対戦し、長距離移動、過密日程、気候の違いなど多くのハンデがあるにもかかわらず、3-0で完勝している。

大会の歴史を振り返ればわかるように、南米のチームはどれだけ不利な下馬評でも相手を見上げることはない。逆にどんな手を使ってでも勝って、自分たちの価値を高めてやろうと燃える。今回もバルセロナが断然有利なのは間違いないし、思わぬ大差がつく可能性もあるけど、ひょっとすると、という期待感があるね。

(構成/渡辺達也)