2ステージ制復活となった今季のJリーグは、年間勝ち点1位の広島がチャンピオンシップ(CS)も制し、2年ぶりのリーグ優勝を決めた。
CSは3試合ともスリリングで見応えのある展開だった。決勝の2試合は、Jリーグの公式戦としては11年ぶりとなる地上波ゴールデンタイムの全国中継が行なわれ、視聴率もそれほど悪くなかったようだね。
ただ、2ステージ制に反対という僕の考えは変わらない。やはり、年間を通して積み重ねてきた勝ち点にはそれなりの重みがあって、きちんと評価すべきだと思うからだ。今回は広島が優勝したからよかったものの、もし広島より勝ち点が11点も少ない年間3位のG大阪が優勝していたら、どうなっていたかな。通常のリーグ戦はなんだったのかという批判も出ていただろう。Jリーグ関係者は広島の優勝にホッとしているんじゃないかな。
そもそも最少で3チーム、最多で5チームが出場できるというCSの仕組みもわかりにくかったし、試合形式にも大いに疑問が残った。
具体的には、年間成績上位チームにもっと有利な条件を与えるべきではなかったかということ。浦和は年間勝ち点でG大阪に9点も差をつけていたのに準決勝で延長戦の末に敗退した。でも、J2のJ1昇格プレーオフ同様、90分間で引き分けとなった時点で年間上位の彼らが決勝戦へ進める方式にすべきだったと思う。そうでなければ、リーグ戦の勝ち点の重みがなくなってしまうからね。
また、2ステージ制については興行面でばかり是非が語られているけど、日本サッカーのレベルアップという意味ではどうか。
J1に18チームは多すぎる!
CSを視察した日本代表のハリルホジッチ監督は「(CSは)日本だけでしか行なわれていないシステム。このシステムによって(選手に)疲労がたまっている」と批判し、さらに「Jリーグに求めるのは質の高い試合。そのためにはチーム数を減らしてはどうか」と提言したそうだ。
全く同感だね。J1はただでさえリーグ戦、ナビスコ杯、アジアチャンピオンズリーグ、天皇杯などでカレンダーがびっしりと埋まっていたのに、2ステージ制とCSを導入したことで、さらに日程が過密になった。
そして、そのしわ寄せは代表にくる。来年1月にリオ五輪アジア最終予選を控えるU-22日本代表は、11月の合宿にも12月の合宿にもJリーグの試合優先で招集に制限がかかり、いずれも手倉森監督の呼びたい選手を全て呼べなかった。チーム形成の最終段階だというのに大きなマイナスだ。
A代表も、せっかく今年6月の南米選手権に招待されたのにカレンダーを調整できないなどの理由で参加を辞退している。
Jリーグは代表を強くしようという理念のもとに立ち上げられたもの。なのに、現状はどうか。CSが多少盛り上がったところで、日本代表の強化の足を引っ張っているなら本末転倒だ。
僕は以前から何度も言っているけど、J1に18チームは多すぎる。4チームくらい減らせばいい。そうすれば競争が厳しくなってリーグ全体のレベルが上がり、試合数も減って代表活動も行ないやすくなるだろう。いずれにしても、今のJリーグに必要なのは2ステージ制という小手先の改革じゃないね。
(構成/渡辺達也)