MMAデビュー戦を華麗な勝利で飾り、大晦日のヒロインになったRENA MMAデビュー戦を華麗な勝利で飾り、大晦日のヒロインになったRENA

大晦日に開催されたMMA(総合格闘技)イベント「RIZIN(ライジン)」の第1試合で、MMA初挑戦ながら華々しい勝利を飾ったRENA(レーナ)

ホームリングであるシュートボクシング(以下、SB)を背負い、強烈なインパクトを残した24歳美女格闘家の素顔に迫った! 

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―大晦日の勝利、本当に素晴らしかったです! 特にフィニッシュの飛びつき腕十字固めには驚きました。

RENA 自分でも「マジか!」とビックリしてます(笑)。でも、飛びつきの練習はずっとやってきたので、絶対に1回は飛ぼうと決めてたんですよ。

―それを本番で極(き)められるのがSB世界女王の貫禄ですね。最初にMMAのオファーが来た時は?

RENA 完全NOですよ。ムリです!って。ただ、よく考えるとSBを世の中に知ってもらうチャンスだし、立ち技では相手がなかなか見つからない中で新しい挑戦をしたい時期だったんです。それがまさかMMAとは思わなかったですけど…。

だから、試合をするしないにかかわらず、とにかくMMAの練習をしてみないとなんとも言えないなと。で、練習を始めた頃に、もうドタバタと記者会見になってしまって(笑)。

―ドサクサに紛れて決まったのがよかったんですかね。

RENA 深く考えてたら、やっぱりNOでしたからね。

―試合当日は緊張した?

RENA いや、そこまで。試合の2、3週間前ぐらいからは「緊張する?」と言ってましたけど、計量が終わった頃から「なんかイケる気ぃするわ」って。当日はセコンドのみんなにも「試合後のマイク、なんて言いましょうか?」とか言ってたんですよ。

―余裕じゃないですか!

RENA いや、言うほど自信なかったですよ。でも、当日の展開みたいなのが、なぜか全部見えたんです。

お姉ちゃんたちも結構悪かったんで…

 イタリアの強豪イリアーナ・ヴァレンティーノと好試合を展開し、最後は飛びつき腕十字固めで一本勝ち イタリアの強豪イリアーナ・ヴァレンティーノと好試合を展開し、最後は飛びつき腕十字固めで一本勝ち

―それはすごい! ところで、SBではいつもメインやセミで闘っているのに、第1試合に出るというのは抵抗なかったんですか?

RENA 最初は「え!? 第1試合ぃ? なんでや」ってブー垂れてました(笑)。MMAに挑戦する特別な試合なのにって。でも、榊原(信行)代表が「RENA選手にRIZINの新しい扉を開いてほしい」と理由を説明してくださったんで、一気にルンルンになって。

―その気持ちが、あのハツラツとした入場シーンにつながったんですね。

RENA 入場って私だけが注目される瞬間じゃないですか。今回は大会場ですし、楽しく入って、楽しく試合して、いい結果で終われば最高だなって。SBの象徴である「1、2、3、シュート!」も言えたので、もう大満足です。

―ただ、そんな晴れ舞台の上で「私、引きこもりだったんです」と試合後のマイクで発言したのは意外でした。

RENA ああ、そこはなんの計算もなく自然に出ちゃいましたね。ああいう舞台だからこそ「今引きこもっている人も、頑張れば殻を破れるよ」と伝えたかったのかもしれないです。こういう仕事なので、やっぱり夢を与えたいじゃないですか。学校や勉強がすべてじゃないよって。

―RENA選手自身は、小学6年生まであまり学校に行ってなかったんですよね。

RENA はい。私は4人姉妹の末っ子なんですけど、お姉ちゃんたちも結構悪かったんで、学校行かなくてもいいやというのが普通にあって。行っても勉強できるわけでもないし、朝起きれないし。お母さんが朝めっちゃ起こしにくるんですけど、ドアにロックかけて「お姉ちゃんも行ってへんやん」みたいな。

―早すぎる反抗期! 家にこもって何してたんですか?

RENA TV見たり、本読んだり。もう、当時は昼夜逆転してました(笑)。それを変えてくれたのがSBのジムだったんです。道場に通い始めてからは、先生に「今日、学校行ったんか?」と毎日聞かれるようになって。学校行ったら褒(ほ)めてもらえるんで、頑張って行くようになったんです。

―そこが転機に。

RENA あとは試合で注目されるようになると、みんながかまってくれるから嬉しかったんですよね。特に身内が喜んでくれるのが嬉しくて。要するに私、“かまってちゃん”なんですよ!

―じゃあ、RENA選手にはどんどんちょっかい出したほうがいいということですね。

RENA ハハハ、ちょっかい出してください(笑)。でも人見知りやし、苦手な人にはすぐ態度に出ちゃいますけどね。

「25歳で引退」発言…今後の活動は?

 取材当日は東京都心で初雪が観測されたが、屋外でも笑顔で撮影に応じてくれた 取材当日は東京都心で初雪が観測されたが、屋外でも笑顔で撮影に応じてくれた

―“かまってちゃん”ぶりは、末っ子ならではの気質なんですかね?

RENA うーん、確かに写真とかは長女が一番残ってるけど、今は末っ子が一番かわいがられてますよ(笑)。最近はお姉ちゃんのほうが「RENAだけ甘やかしすぎや」って、妬(や)いてますもん。

―大晦日の試合で、RENA選手をもっと見たいという人が増えたと思いますが、過去には「25歳で引退」という発言もありましたね。

RENA はい。今24歳なので、来年ですね(平然と)。

―いやいや…その気持ちは今も変わらないんですか?

RENA まあ、そんなに長くないと思っているのは正直なところです。体の限界もあるので。ケガが続いたりモチベーションの低下もある中、残り少ない現役生活で、もうワンランク上に行きたいと思って半年前に大阪から上京したんですけど、それで新しい扉が開いたのは確かですね。そして意外にもMMA挑戦でモチベーションが上がったのも事実です。

―じゃあ、現役の寿命も?

RENA 延びましたね。どこまでできるかわからないですし、今後MMAの試合をするかもわからないですけど。

―榊原代表は早速、4月に開催される大会のオファーをしてみようと、SNSで発信しているらしいですよ。

RENA ですよね。でも4月はSBに出ます…(笑)。RIZINは夏と年末にも大会があると聞いてるんで、内容とタイミング次第ですかね。あとは、皆さんがちゃんと私にかまってくれるかどうかにかかってます(笑)。

■発売中の『週刊プレイボーイ』5号では、同じく大晦日にMMAデビューを果たした山本アーセンのインタビューも掲載中!

■RENA(レーナ) 1991年生まれ、大阪府出身。「立ち技総合格闘技」といわれるシュートボクシングを小学6年生から学び、2007年にプロデビュー。女子最強を決める「Girls S-cup」を何度も制し、15年8月には世界女子フライ級初代王者に。大晦日のMMA初挑戦を見事勝利で飾った。最新情報はオフィシャルブログまたはシュートボクシング公式サイトにて

(取材・文/松下ミワ 撮影/保高幸子)