待ちに待ったプロ野球のキャンプイン。選手のみならず、ファンもなんだかワクワクしてくるから不思議なものだ。
昨年日本一のソフトバンクや、14年ぶりのリーグ優勝を果たしたヤクルトはどう仕上げていくのか? トリプルスリーを達成した柳田悠岐と山田哲人の調子はどうか?
新人では、まず一番の注目は楽天のオコエ瑠偉(るい)か。さらに巨人・高橋由伸、阪神・金本知憲、DeNAのアレックス・ラミレス、楽天・梨田昌孝といった新監督たちも、新しい風を吹き込んでくれそうだ…。
長い歴史を誇るプロ野球のキャンプでは、過去にも様々な事件やエピソードが生まれ、語り継がれてきた。今回はその中から「伝説」を厳選してみた。
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【伝説の瞬間01】 三冠王・落合を報道陣がチェイス!
時は1987年2月。ロッテで三冠王に3度輝いた落合博満(現中日GM)が、トレードで移籍した中日で初のキャンプを迎えた。セ・リーグに見参した超大物の動向を見逃すまいと、宮崎・串間(きしま)キャンプでは連日、100人以上の報道陣が金魚のフンのごとく追いかけた。
最大の焦点は、「打撃練習をいつ開始するか」。キャンプ序盤はバットを握りもしない落合が、ようやくスイングを解禁したのはなんと2月17日のこと。異様な追いかけっこは、実に半月以上も続いたことになる。
ちなみに、この頃からTV各局でスポーツニュースが定着し、報道陣の数が急増。以来、移籍した大物やスーパールーキー(例えば、西武・松坂大輔、日本ハム・大谷翔平など)への密着がキャンプの風物詩となっている。今年の標的は楽天・オコエ!?
【伝説の瞬間02】 個性派選手たちのオリジナル調整法
落合に限らず、独特な調整を行なう大物は少なくない。例えば、巨人時代の小笠原道大(現中日二軍監督)はキャンプ序盤、ひたすら逆方向へのバッティングを繰り返した。
投手で有名なのは、個性的なフォームでパ・リーグを沸かせたマサカリ投法の村田兆治(ロッテ)や、トルネード投法の野茂英雄(近鉄)の遠投による調整法。人並み外れた低い球筋で美しい曲線を描くロングスローを見て、ファンはため息を漏らした。
ミスターこと長嶋茂雄の伝説とは?!
【伝説の瞬間03】 “ミスター”が背番号「3」を披露!
2000年の巨人・宮崎キャンプは例年以上の大盛況だった。理由は、長嶋茂雄監督の背番号。前年までつけていた「33」をFA入団した江藤智に譲り、再び現役時代につけていた永久欠番「3」を背負ったのだ。
ところが、さすがはエンターテイナーのミスター。キャンプ序盤はなかなかグラウンドコートを脱いでくれない。「いつになったら脱ぐんだ?」ーーその瞬間をひと目見ようと、連日、多くの観客が集まった。
そして、2月12日。ミスターが勢いよくコートを脱いだ瞬間、「おおおお!」という大歓声とバシャバシャという報道陣のシャッター音が球場に鳴り響いた。ついに「3」がお披露目されたのだ。当時、間もなく64歳だったミスターが江藤に個人ノックをビシバシと打ち込む勇姿は、TVやスポーツ紙で大々的に取り上げられた。
上着を脱ぐだけでこれほどの話題になったのは、後にも先にもミスターだけだろう。
●発売中の『週刊プレイボーイ』7号ではこの他にも「プロ野球キャンプ 伝説の瞬間BEST20」にて数々の伝説を紹介しているのでお読みください!
(取材・文/キビタキビオ)