新日本プロレス道場にて、伝統ある“ちゃんこ”を食べられるという激レア企画が開催 新日本プロレス道場にて、伝統ある“ちゃんこ”を食べられるという激レア企画が開催

ここは新日本プロレス道場ーー。セルリアンブルーのマットの上では今日も選手たちが汗を…いや、どう見てもレスラーじゃない方もいるようだが?

実は彼らはカードゲーム「キング オブ プロレスリング(通称キンプロ)」の大会で上位に入賞した方々。キンプロとは新日本プロレスのグループ会社・ブシロードの人気ゲームで、月に1度全国大会が開催されており、昨年11月に行なわれた大会の賞品が新日道場での「ちゃんこツアー」。

この日、プロレスラーの強靭な肉体の源であり各団体に伝統がある“ちゃんこ”を道場で食べられるという激レア企画が実践されたというワケ。

普段は芸能人であっても入寮が禁止されている道場に足を踏み入れられる貴重な機会。その上、参加選手は現IWGPジュニアヘビー級王者KUSHIDAと多彩な技で数々のタイトルを獲得してきた田口隆祐、さらになんと! ちゃんこを作るのは“リビング・レジェンド”獣神サンダー・ライガーだという。

これは潜入するしかない!

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ちゃんこツアーはまず道場体験から! 電光石火のアームロックや、何よりハートにダメージを与えるヒップアタックの極意を伝授され、コーナーポストの高さに驚愕! 現役プロレスラー相手のプロレスごっこに上野毛道場が初期衝動の情熱に包まれた…。

 KUSHIDA選手に腕と手首を極められ「ロープ!ロープ!」と嬉しい悲鳴を上げる参加者 KUSHIDA選手に腕と手首を極められ「ロープ!ロープ!」と嬉しい悲鳴を上げる参加者

 ヒップアタックは当てる瞬間の表情も大切! 実は田口選手、主催したキンプロの大会で自ら優勝するほどの腕前でもある ヒップアタックは当てる瞬間の表情も大切! 実は田口選手、主催したキンプロの大会で自ら優勝するほどの腕前でもある

ひとしきり汗を流した後は、選手たちの生活の場を覗(のぞ)き見る。まず案内された浴室では、ヤングライオンの金光輝明選手と川人拓来(かわと・ひらい)選手が惜しげもなく細マッチョボディを晒(さら)して仲良く入浴中!

 まだ18歳の現在進行形な肉体美を洗面器ヌードにて謁見! 獣神曰く「彼らはまだジュニアヘビー級にも少し足りないぐらいの体つきですが…アソコはヘビー級!(笑)」 まだ18歳の現在進行形な肉体美を洗面器ヌードにて謁見! 獣神曰く「彼らはまだジュニアヘビー級にも少し足りないぐらいの体つきですが…アソコはヘビー級!(笑)」

「新弟子が一番大変ですよ」とライガー選手も言う通り、ヤングライオンの仕事は多い。その研鑽(さん)の日々を垣間見たのが、2階の選手居室前の手すりに干された色とりどりのコスチューム。生地がデリケートで乾燥機は使えないため、付き人のヤングライオンが洗濯し、優しく形を整えて部屋干ししているのだ。

「うまっ!」「お店を出せる!」と絶賛の嵐

食堂に移動し、ついに本日のメインイベント「獣神’sキッチン」! あの永源遥も絶賛したという秘伝の「湯豆腐」が登場する。湯豆腐とはいえ、キャベツ、大根、キノコ類、ニラ、そして大量の鶏肉と具だくさん。「油を一切使わないので高タンパク・低カロリーで、筋肉がどんどん付く」(KUSHIDA選手)という優良メニューだ。

山盛りの具材は実に大鍋3杯分! この大鍋が4人ほどであっという間になくなるというから、さすがレスラーの胃袋は計り知れない。これに鰹削り節に卵黄10個、醤油と香り付けの青のりで仕上げる秘伝のタレを少しずつ溶かして絡めながらいただくのが獣神流とか。レシピ分量はすべて「目分量とカン」。プロレスと同じで体で覚えるものってことですね!

いつもはちゃんこに加え、寮長の“虎ハンター”小林邦昭さんがおかずを作ってくれるそうだが…。周囲を見渡すと、棚にはカワイい花柄マグカップが整然と並び、端々には季節の花や小物が。女性スタッフでもいるのかと思いきや…「全部、小林さんがやってるんだよ」(ライガー選手)。虎ハンターの女子力はソバットの打点以上に高いのか…!?

 具材を入れる順番も大切。火の通りにくい大根、肉、野菜、豆腐の順に入れ、彩りのニラは最後に! これも「見た目がきれいな方がと永源さんに教えられた」(ライガー選手)のだとか 具材を入れる順番も大切。火の通りにくい大根、肉、野菜、豆腐の順に入れ、彩りのニラは最後に! これも「見た目がきれいな方がと永源さんに教えられた」(ライガー選手)のだとか

さて、肝心なお味はというと「うまっ!」「お店を出せる!」と絶賛の嵐。そんな中、「ライガーさんの試合に感動してアマレスを始めました!」とご本人に“告白”する参加者も。参加レスラーのデビュー年もライガー選手が89年、田口選手は02年、KUSHIDA選手は06年と実に幅広いこともあり、ちゃんこの湯気の中での談笑で新日の歴史が紐解かれていくよう。

黄金期を知るだけあって「あの頃は牛肉も頻繁(ひんぱん)に出ていましたね…」と遠い目をする田口選手。一方、他団体から移籍してきたKUSHIDA選手はちゃんこを作ったことこそないものの、実は子供の頃に食べた思い出の味だという。

「家が近所だったんですけど、年末恒例の道場の餅つき大会でこのちゃんこも振る舞われたことがあって、『あの時のちゃんこだ…!』って。でもプロレスラーになって初めて来た時は憧れの先輩もたくさんいて、ドキドキして練習もすぐ息が上がったり、緊張してちゃんこの味も全然わからなくて(笑)。

実は補助輪付きの自転車で『誰かいないかな~』って見に来たこともありますよ! そしたら2階からライガーさんが「橋本~!」とか他の選手を呼ぶ声が聞こえて、静かな住宅街に響き渡るその迫力にビビってしまい、もう何も言えずに帰ってきちゃったこともありました(笑)」

今やレスラーとなった、かつての少年にとっても、ちゃんこにまつわる道場の記憶は思い入れあるものなのだ。そんな胸熱な思い出話空間になったところで、ライガー選手にも若手時代のお話を伺うことができた。

●この続き、獣神が熱く語る、ちゃんことレジェンドたちのエピソードは明日配信予定!

(取材・文・撮影/明知真理子)