今年もプロ野球にたくさんの外国人選手がやって来た。しかし…新しい助っ人たちは、例年とちょっと様子が違う。全35選手のうち、実に14人が「ヒゲ面」なのだ。
2月からキャンプ、オープン戦を偵察に回ってきたパ・リーグ某球団のスコアラーは意外な苦労(?)を語る。
「いつもなら『ほら、あのヒゲのピッチャー』とか言えば、誰のことかわかるんだけど、今年はそれが通用しないんだよなあ(苦笑)」
そして、異常事態がもうひとつ。なんと、最速160キロを超えるという触れ込みの剛腕投手が6人! こんな豊作、そうあるもんじゃない。
「ヒゲ」と「160キロ」を兼ね備えた投手の筆頭格が、オリックスのコーディエ。
「最速166キロ…が本当かどうかはともかく、メジャー時代に160キロを連発していたのは事実で、昨年はマーリンズで同僚だったイチローからも“ミスター・ワンハンドレッド”(100マイル=約160キロ)と呼ばれていたとか。今年のキャンプでも、初日から150キロ前後を投げていた規格外の右腕。抑えは確定ですね」(スポーツ紙デスク)
唯一、気になるのは制球力で、オープン戦でも結果は残しているものの、やや不安定さが見え隠れする。「スロースターターだから」と本人は意に介さないが…。
一方、阪神は「ヒゲ&自称160キロ」をふたりも獲った。
「丸っこくて陽気なドミニカンがマテオ、長身で物静かなドミニカンがドリスです」(スポーツ紙・阪神担当記者)
呉昇桓(オ・スンファン)の後任として抑えを託されるマテオは、オープン戦は無難に抑えているものの、「変化球はスライダーだけで、慣れれば空振りはない」(セ・リーグ某球団スコアラー)
一方、もうひとりのドリスはフォークがあり、球の力もある。しかし…。
「コントロールが悪く、バント処理など小技がまるでダメ。結局、ふたりとも中途半端です(苦笑)」(セ某球団スコアラー)
どうやら、シーズン途中で新たな外国人ストッパーが必要になりそうな気配だ。
まだまだいるヒゲ面の新外国人選手
同じく「ヒゲ&自称160キロ」の中日のハイメに至っては、キャンプ序盤に肩を痛めていたことが発覚し、剛速球を披露する前にものすごいスピードで二軍降格。実力を評価しようがない。
「例によって、森繁和ヘッドコーチがドミニカ共和国からスカウトしてきた剛腕。本人は『昨年、3回も166キロをマークした』と言いますが、球団関係者いわく、『実際に出したのは3、4年前』とのこと。肩痛の原因は、森ヘッドに認められたくて、ドミニカのウインターリーグで無理して投げたからという噂もあります」(TV局関係者)
その中日では、もうひとりのヒゲ投手ジョーダンの評価が高い。球速はないが、変化球を高低、左右に投げ分ける技術を持つ。
「彼は2013年に禁止薬物を使っていたことがバレて、50試合の出場停止を食らった“前科”がある。メジャーに居づらくなったところを『クスリなしでも実力はある』と判断した中日が誘ったわけです」(TV局関係者)
禁止薬物といえば、広島のモジャヒゲ外野手プライディも12年に使用が発覚。同じく50試合の出場停止処分を受けている。ただ、こちらはキャンプ前半こそ目立っていたが、日ごとに評価が急降下。今では残念ながらヒゲだけが目立っている。
そして、残る「ヒゲ&自称161キロ」、ヤクルトのルーキも評価は高くない。期待したいのは、やはり同じヒゲ投手のデイビーズ。メジャー通算152試合登板の実績はダテじゃない。
「球速は常時150キロ前後をマーク。変化球も多彩で、特にナックルカーブがいやらしい。出だしが順調なら、先発ローテーションの軸になれる力量ですよ」(前出・セ某球団スコアラー)
他にも、日本ハムのバースやマーティンも、ヒゲ&160キロ級の注目投手だ。そしてもちろん、「ヒゲなし投手」にも有望株はまだまだいる。
発売中の『週刊プレイボーイ』13号では、今年新加入の外国人選手たち35人をすべて分析。シーズンで「化けそう」な選手は誰か? 詳細に解説しているのでお読みいただきたい。」
(撮影/小池義弘)