「アジア予選は突破できるだろう」などと考えていたら、いつか痛い目に遭う

2018年ロシアW杯アジア2次予選のラスト2試合、アフガニスタン戦(3月24日・埼玉)、シリア戦(29日・埼玉)が行なわれる。

日本は2次予選初戦のシンガポール戦こそつまずいたものの(ホームで圧倒的に攻めながらも得点を奪えずに0-0の引き分け)、その後は5連勝。今回の2連戦も負けを心配するような相手じゃない。力の差は歴然としている。

だからノルマは当然、連勝して1位で最終予選進出を決めること。それも、ただ勝つだけじゃなく、9月から始まる最終予選につながる試合をしてほしい。

具体的に言えば、チームの全体の底上げが課題だ。本来であれば、格下との対戦が続く2次予選は新戦力を試す絶好の場だった。でも、初戦のシンガポール戦で引き分けたことでハリルホジッチ監督が必要以上に慎重になり、毎回、欧州組中心の“いつもの”メンバーを起用してきた。でも、この2連戦ではぜひ思い切った采配を期待したいね。

最後のシリア戦はグループ1位、2位を決める大事な試合だから、監督の考える現時点のベストメンバーで臨むべきだとは思う。ただ、かなりレベルの落ちるアフガニスタンとの対戦では大幅にメンバーを入れ替えてもいい。

今まであまり出場機会に恵まれていない選手にチャンスを与えてほしい。徹底的に守備を固めた相手をどうやって崩すかという経験を積む場にもなるし、親善試合ではなくW杯予選でスタメンとしてピッチに立つことで、代表選手としての意識も高まるはず。

それに海外組はシーズン終盤で疲れがたまっている選手も多い。岡崎などはレスターでスタメンとして優勝争いを続けていて、気が張っている。本田や長友もフレッシュな状態ではないだろう。ここで無理をさせる必要はない。シリア戦限定でしっかりプレーしてもらえばいいんじゃないかな。

そろそろ世代交代を本気で考えなければいけない

ただ、矛盾することを言うようだけど、新戦力を試せといっても、Jリーグでも欧州でも「この選手を代表で見たい」という勢いに乗っている選手が見当たらないのも事実。特に、攻撃的なポジションが寂しい。

例えば、昨年だったら、浦和に移籍した武藤がゴールを連発して、世論の後押しもあり、代表デビューを果たしたよね。でも、今季のJリーグではこれまでのところ、どちらかといえば俊輔(中村)、中澤、憲剛(中村)、大久保といったベテラン勢の活躍が目立っている。欧州でもヘルタ・ベルリンの原口が頑張っているくらいで、他の若手はパッとしないのが現状だ。

2010年南アフリカW杯以降、代表の主力はあまり変わっていない。監督が代わっても大体一緒。それだけ今の主力に計算できる選手が多く、また、若手が伸び悩んでいるということだけど、そろそろ世代交代を本気で考えなければいけない時期に差しかかっていると思う。さもないと、なでしこジャパンの失敗を繰り返しかねない。

女子のリオ五輪のアジア出場枠は2で、男子のロシアW杯のアジア出場枠は4.5。確かに、厳しさは全然違う。でも、「なんだかんだいってアジア予選は突破できるだろう」などと考えていたら、いつか痛い目に遭う。

だからこそ、世代交代は常に意識すべきだし、今回、出番をもらう若手はチャンスを生かすべくアピールしてほしいね。

(構成/渡辺達也)