リオ五輪1次リーグでナイジェリア、コロンビア、スウェーデンという強敵ぞろいの“死のB組”に入ってしまったU-23日本代表。果たして、予選突破の鍵はどこにあるのか?
「やっぱりBだなと。B定食を食べちゃったからな。言ったことがそのとおりになった」
U-23サッカー日本代表の手倉森誠監督は、囲みの記者たちに冗談めいた口調でそうつぶやいた。Bとは、リオ五輪のグループリーグB組のこと。
組み合わせ抽選会の前日に、シード順と地域割りを考慮し、“ありそうな組み合わせ”を見事に的中させたサッカージャーナリストの川端暁彦氏は「当たり得る限りで“最強の敵”」と対戦相手を分析する。
「元々、1月に行なわれたアジア選手権優勝国の日本には第1シードが与えられていました。そのおかげで幸いにも予選段階でブラジル、メキシコ、アルゼンチンという、強豪中の強豪とは同じ組にならないことが決まっていた。しかし、今回予選で対戦することになった3ヵ国は、いわばブラジルなどを除いた中で“優勝争いの2番手グループ”とされる国なんです」
そんじょそこらの定食屋で出されるレベルではない。今回、日本代表に出されたB定食は、とてつもなく高カロリーだと言わざるを得ないだろう。
では、各国の実力はどの程度のものなのか。川端氏が解説する。
「若い世代の戦力という意味では、初戦で当たるナイジェリアが一番タレント豊富なチーム。フル代表の経験がある選手だけで1チームを組めるくらい充実しており、2013年アフリカ選手権でも優勝しています。
そして、グループの中で最も強いのは、おそらく第2戦で当たるコロンビアでしょう。前回のブラジルW杯が象徴的ですが、南米勢は南米で開催される大会にめっぽう強い。日本は南米のチームを苦手としているので、相当てこずるはずです」
相手の実力以上にやっかいな気候
相手の実力以上にやっかいなのが、気候だ。特に第1、2戦の会場はアマゾン地域のマナウス。8月の平均最高気温が34度、湿度80%と高温多湿な環境は選手のパフォーマンスに影響を及ぼすだろう。
「ただ、日本の夏も相当暑いですからね。慣れという意味では、ブラジルの暑さが日本にプラスに働く可能性もある。3戦目のスウェーデンは欧州王者で実力のあるチームですが、酷暑での連戦を乗り切れるかは疑わしい。日本としてはラッキーな日程かもしれません」(川端氏)
日本にとっても大いに脅威になり得る環境だが、北欧の青年たちにとってより厳しいのは間違いない。もっとも、それまでの2連戦で日本が勝ち点を獲得できていない場合、その時点で予選突破が難しくなってしまうのだけれど…。
その鍵を握るポイントはやはり「オーバーエイジ枠」だ。「原則23歳未満で開催される大会ながらも、上限3名までの選手を年齢無制限で参加させていい」というルールをどう活かして、誰を招集するのか? そこにリーグ突破の可能性がかかっているといっても過言ではない。
では、誰がオーバーエイジ枠にぴったりなのか? 発売中の『週刊プレイボーイ』19・20号では、元五輪代表の城彰二氏&三浦淳寛氏のふたりが「手倉森監督に連れて行ってほしいオーバー23歳の選手」を提言。その意外な名前を、ぜひ本誌で確かめていただきたい。
(取材・文/本誌取材班)