大谷、中田に柳田、おかわりクンに秋山と数多くのスター選手を代表に送り出し、今や「野球はパ・リーグ」といってもよいほどの勢いだ。
ところが、パ・リーグは野球以外も魅力的! というワケで、『週刊プレイボーイ』19・20合併号の大特集では各球団のコラボ&限定アイテムやチアリーダー、選手プロデュース弁当まで紹介。そのナビゲート役を務めた12球団ファンクラブ評論家の長谷川晶一(しょういち、以下、長)氏が改めて語る、パ・リーグの素敵っぷりとは!
■あらゆるものをファン目線で徹底比較
―前作の『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!』から2年。今度はパ・リーグの〝野球以外″を徹底比較し、それを一冊にまとめられたとか(『このパ・リーグ球団の「野球以外」がすごい!』小社刊)。
長 実はこの本は僕の発案ではなく、パ・リーグさんからいただいたお話なんです。ある日、「話がある」と呼び出されて行ったら、そこにはパ・リーグ各球団のお歴々の姿が! 僕は普段から12球団ファンクラブ評論家として好き勝手なことを書いているので、ボコボコにされるのかと身構えていたら(笑)、「パ・リーグ本を書いてほしい。無理して褒(ほ)めなくていい、不満もありのまま書いてくれ」と。
―自ら「不満もありのままに書いてくれ」とは、なかなか言えないことですね。
長 なんて度量が広いのかと、喜んで引き受けることにしました。各球団にご協力いただきながらも、基本は完全に個人行動。自分でチケットを買い、航空券や宿泊の手配をし、自腹で弁当を平らげ、グッズを買いあさりました。昨年の6月からの5ヵ月間、51試合を球場で観戦し、164杯のビールを飲みながらできたのが本書です。
―本誌ではボブルヘッド人形や選手プロデュース弁当などを紹介していただきましたが、他にも球場設備やスタッフのサービス能力、マスコットのリアクションまで、あらゆる比較をされてますね。
長 球場トイレのメーカー、最寄り駅改札から入場ゲートまでの歩数に、生ビールの価格まで実に50項目以上を比較しました。前代未聞の「スポーツビジネス研究本」になったのではないかと思います。
もしかして、ある球団だけがご立腹?
―そこから見えてきたパ・リーグのスゴさとは?
長 日本ハムの球団関係者の方からよく「ファンサービス・ファースト」というフレーズを耳にするんですが、日本ハムの杉谷拳士(すぎや・けんし)選手にインタビューした時もこの言葉が出てきたのには驚きました。フロントだけでなく、現場の選手にもこの理念が浸透しているあたりは、近年のパ・リーグの強さだと思います。
―球場ひとつとっても、パ・リーグの「ボールパーク化」は進化が著(いちじる)しいですね。
長 特に楽天のKoboスタは他を圧倒しています。訪れるたびに新しい施設が増えているし、近く、レフトには観覧車もできる(この取材の後、完成披露)。他の5球団が「野球場→ボールパーク」を目指している中、Koboスタだけが「ボールパーク→テーマパーク」と一歩先を進んでいる印象です。今後も切磋琢磨(せっさたくま)が続くといいですね。
―本の出版後、ひとつ気になっていることがあるとか。
長 出版前日、お世話になったパ・リーグ各球団担当者にお礼のメールを送ったところ、5球団からは、ねぎらいのメールが届いたんですが、某球団からはなんの音沙汰もないんです。ひょっとしたらご立腹なのかな…と気にしつつも、一度身についた「比較グセ」はなかなか抜けず、各球団の返信が届いた日時、メールの文字数を一覧にまとめてしまいました(苦笑)。残り1球団から連絡が来るかどうか、また報告しますので、読者の方もハラハラしながら見守っていてほしいです(笑)
『このパ・リーグ球団の「 野球以外」がすごい!』 本体1400円+税 長谷川晶一/集英社
●長谷川晶一(はせがわ・しょういち) 1970年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーに。2005年から12球団すべてのファンクラブに入会し、世界唯一の「12 球団ファンクラブ評論家(R)」として商標登録済み。野球関連の書籍を多く著している