MLBを経て5年ぶりに古巣ソフトバンクに復帰し、トミー・ジョン手術の影響を感じさせない快投で4月には3連勝した和田毅(つよし)。
見事な復活を遂げたエース左腕が、久々の日本での勝利、チームや体の変化、そしてチームメイトになった松坂を語った!
* * *
―4月で早くも3勝。素晴らしいです!
和田 ありがとうございます。
―でも、初勝利は先発3試合目でしたね。
和田 オープン戦が完璧すぎたので(15回投げて無四球無失点)ヤキモキさせたかもしれませんね。勝ちがつかない間はもちろん僕も悔しかったし、何よりチームに申し訳なかった。だけど、シーズン本番は甘くないと思っていたので焦りはありませんでした。
―やはり日本復帰1勝目は格別でしたか?
和田 それはあんまり(笑)。周りの方に喜んでもらえたのは嬉しかったですけど、記者の方に「この1勝どうですか?」と聞かれても「まだたったの1勝でしょ」というのが本音でした。
あれが引退試合や、ケガから復帰したばかりで今年最後の登板になるのならば話は別ですけど、これからも投げて、勝っていかなきゃいけませんからね。
―5年ぶりとなる日本球界やソフトバンク。以前とは景色が違って見えますか?
和田 ソフトバンクは全体的に若くなりましたよね。5年前にファームや控えで頑張ってた選手が今は主力ですし。しっかり世代交代がされていて、外国人選手に頼らない自前のチームが出来上がっているなと感じています。
あと、本拠地のヤフオクドームはビジョンの数が増えて、LEDライトの演出が派手になりましたね。近未来的になったというか(笑)。メジャーに近い感じがします。
三振を取りにいくのではなく、球数を減らす投球
―5年前は、主砲の柳田悠岐(ゆうき)選手もルーキーでした。
和田 彼はもともと1年目から体つきが違いましたし、あの頃から全力フルスイング。これがモノになったらすごいだろうなと思っていましたが、ホントにそうなったのがすごい!
―和田投手は今年2月で35歳。チームでも上から5番目のベテランになりましたが、自分の変化を感じることはありますか?
和田 うーん…。白髪が増えたくらいですかね。
―いやいや、全然目立ってないじゃないですか!
和田 一生懸命抜いてますから(笑)。あとは、若い時ほど夜遅くまで起きていられなくなったかな。でも、食事の量が減ったとか、走る量が減ったとか、肉体的な衰えは感じないですね。
―野球選手としての変化はどうですか?
和田 昔みたいにバンバン三振を取りにいくのではなく、球数を減らす投球を心がけています。そう言いながら、結構多いんですけど(笑)。
―4月5日のロッテ戦でも、4回までに9奪三振。若い頃と変わらぬ力投にほれぼれしました。
和田 その前に登板した西武戦はスピードも出ていなかったし、何もかもがダメで負け投手になっていましたから。同じような投球をしてしまうと、「また…」とチームもファンも失望させてしまう。そんな空気にさせないよう、あの日はとにかく初回からぶっ飛ばしていきました。ただ、最後は疲れましたね。
―和田投手が早稲田大学2年の時に5回12三振を奪った投球を、神宮球場で生で見たのを思い出しました。
和田 ありましたね。覚えてますよ。さすがにあんな若々しさはもうありませんが、ここぞというところではそんな投球も見せられればいいですね。チームに勢いが出るし、相手に「和田も勢いが衰えてないな」と思わせるのも大事ですから。毎試合、毎イニングというのは難しいですけど、また頑張りますよ。
●この続き、盟友でありチームメイトとなった松坂大輔について語ったインタビュー後編は明日配信予定!
●和田毅(WADA TSUYOSHI) 1981年2月21日生まれ、島根県出身。左投げ左打ち。早稲田大学野球部で東京六大学野球の奪三振記録を更新(476奪三振)するなど活躍。2002年に自由獲得枠で福岡ダイエー(現ソフトバンク)ホークスに入団し、新人王、最多勝などのタイトルを獲得した。11年オフに海外FA権を行使しメジャーに挑戦。15年11月に日本球界に復帰した
(取材・文/田尻耕太郎 撮影/繁昌良司)