こいのぼりの季節は終わったけど、赤ヘルの勢いはまだまだ止まらなそう!

広島カープの打棒が大爆発だ。18日現在、チーム打率(.277)、ホームラン(41本)、得点(223)とも12球団トップ。

1~5番に3割打者がズラリと並び、早くも「カープ史上最強」との呼び声も。昨年はチーム打率.241と12球団の中でも下から3番目だったカープ打線。この大変身の陰には3人の立役者の存在がある。

ひとり目は4月26日に2000本安打を達成した新井貴浩。カープ番記者が言う。

「新井はベテランながらいじられキャラで、チームメートからすごく慕(した)われているんです。『そんな新井さんの2000本安打は勝ちゲームに達成してもらいたい』と、開幕早々、チーム一丸となって勝利を目指したことが大きいですね」

そのシンボルが、チームの重鎮・黒田と選手会長の小窪(こくぼ)のふたりが音頭を取って作った「二千本への道Tシャツ」。背中には「まさかあのアライさんが…。」という爆笑コピーも。カープ番記者が続ける。

「そのTシャツをチーム全関係者が着込み、何も知らない新井をグラウンドで迎えるというサプライズを仕掛けたこともありました。これでチームのメンタル面が強く、明るくなり、一気に打線が活気づいたんです」

続いて、ふたり目の立役者は今季からバッティングコーチに就任した石井琢朗コーチ。カープ関係者がこう説明する。

「石井コーチは早い回から円陣を組んで、『○○だけを狙え。他の球種は捨てろ』と、決め球を絞るんです。しかも指示して終わりじゃない。『打てなければ、オレがすべて責任を取る!』と、選手への気遣いもきちんと見せる。ここまで男気(おとこぎ)のあるセリフを吐かれたら、選手も『やるしかない』と意気に感じます。しかも、その決め球が的中し、得点につながることもしばしば。石井コーチの存在なしに今の打線好調はありません」

石井コーチは昨年、打撃不振に苦しんだ主力打者の復活にも手腕を発揮している。前出のカープ番記者が言う。

「2番の菊池、3番の丸に秋からつきっきりでマンツーマン指導。それもあって丸は西武・秋山(翔吾)を髣髴(ほうふつ)とさせるフォームに変わり、菊池は右打ちの極意をつかんだといいます。これらが実を結び、ともに打撃が見る見る復調。ふたりが数多く出塁することにより、得点力が一気に上がりました」

エルドレッドは愛娘を日本の小学校に…

最後は、18日現在、打率トップ、ホームランは2位で、今や「カープ史上最強の助っ人」と称されるエルドレッドだ。昨季、打率.227に低迷した男が、今季はウソのように打ちまくり、カープファンを狂喜させている。

カープ番記者が好調の理由を明かす。

「実はキャンプの時点でエルドレッドは構想外の選手だったんです。昨季の大不振を見て、フロントは元アスレチックスのプライディ、中日のルナを獲得。エルドレッドは第3の外国人に格下げされました。これでお尻に火がついて奮起したところ、とんでもない好結果につながっています」

実はこのエルドレッド、愛娘をアメリカンスクールでなく、日本の公立小学校に通わせている。

「理由は野球キャリアをカープで終え、野球選手として日本に骨を埋(うず)める覚悟を固めたからと聞いています。それもあって、娘にも日本の文化を学んでほしいということなんです。自分の子供をアメリカンスクールに通わせる外国人選手がほとんどなので、これは異例中の異例。だからこそ、エルドレッドは腰かけ気分で来日した外国人選手に絶対に負けるわけにはいかないんです」(前出・番記者)

とはいえ、「カープの好調はこいのぼりの季節(5月)まで」というのがプロ野球界の定説…。だが、球団関係者は首を横に振る。

「新井の2000本安打フィーバーは終わったけど、あと3勝に迫った黒田の200勝フィーバーがまだ残っている。それまでは打線も、『黒田さんのために打ちまくろう』としゃかりきになるはず。端午(たんご)の節句が終わったからといって、チームの打撃成績が急降下することはないと信じています」

梅雨のシーズンに入っても、赤ヘル打線のバットが湿ることはなさそう!?

(取材・文/ボールルーム)