元FUNKY MONKEY BABYSのファンキー加藤が『週刊プレイボーイ』本誌で各界のレジェンドたちと語る対談シリーズの第4回。
日本ダービーを1ヵ月後に控え、競馬サークルも少しずつ熱を帯びはじめた4月某日。東海道新幹線に飛び乗ったファンキー加藤は、初めてという京都競馬場に足を踏み入れた。
歓声も、拍手もない。ついでに言えば、ヤジもない、いつもとはちょっと違った佇(たたず)まい…。
これまでは先に対談場所に赴き、相手を待ち構えていた加藤を今回、逆に迎え入れたのは…天才ジョッキー、武豊(たけ・ゆたか)。ダービーを5度も制した男は今、何を思っているのか。ファンキー加藤が、その本音に迫る!
■十何万人のバンザイって…それ、マジですか!?
武 ようこそ、京都競馬場へ。
加藤 ここが、武さんのホームの競馬場になるんですか?
武 野球やサッカーほど、ホームやアウェーという感覚はないですけど。ほら、あそこに見える森(と右に見える森を指さす)、あの向こうに家があって、そこで3歳まで過ごしていたんですよ。そういう意味では、ここが僕のホームですね。
加藤 それにしても、シーンと静まり返った競馬場って、なんかすごく不思議な空間ですね。
武 競馬場は初めてですか?
加藤 いや。昔、大井競馬場の…「トゥインクルレース」でしたっけ!? 夏の夜に当時付き合っていた彼女と何度か行ったことがあります。
武 中央競馬は?
加藤 ないです。記憶の中にある競馬場はもっとコンパクトな感じだったので、今、こうしてスタンドから見下ろしたコースがものすごく広いので、ちょっと驚いています。
武 僕もこうしてスタンドからコースを見下ろすことがないので、なるほど、競馬場ってこうなっているのかと新鮮な感じですね。
加藤 馬に乗ると、気持ちいいんでしょうね。
武 みぞれ交じりで、手が凍りそうになる真冬や、照り返しで40℃以上になる真夏は地獄ですけど(苦笑)、これから初夏にかけてはものすごく気持ちいいですね。
十何万人の人が僕と馬だけを見て、叫んでいる
加藤 それも、満員のお客さんの前で走るわけですからね。想像しただけでサブイボが立ってきます。ところで、競馬場ってどれくらいお客さんが入るんですか。
武 京都競馬場の最高は13万6701人。90年に中山競馬場で行なわれたオグリキャップの引退レース(有馬記念、17万7779人)もすごかったですけど、中央競馬の最高はその年のダービー(19万6517人)です。
加藤 東京ドームでやったファンキーモンキーベイビーズの解散ライブが5万人で、とんでもない数字だと思っていたんですけど、競馬はその約4倍…ですか。ちょっと想像できない…。
武 で、優勝すると、そのお客さんの前を1頭だけで走り抜けることができるウイニングランというのがあって。その瞬間、十何万人の人が僕と馬だけを見て、名前を叫んでいる。その“ユタカ・コール”がたまらなく気持ちいいんですよ。
加藤 なんとなく、アンコールに出ていく時と似ているような…。
武 たぶん、そうです。近いものがあると思います。
加藤 あれがあるから、またライブをやりたくなる(笑)。
武 競馬場は、声が塊になってぶつかってくる感じがするんですけど、ライブ会場はどうですか?
加藤 日本武道館が特にそうなんですが、天井から音がシャワーのように降ってくる感じですね。
武 そうそう。昔、ウオッカという、男よりも強い女のコがいて。約2cmの差で天皇賞を勝った時(08年、天皇賞・秋)、軽い気持ちでバンザイをしたことがあったんですけど…。十何万人が一斉にバンザイをしてくれて。
加藤 マジですか?
武 自分がやったことなんだけど、さすがにあの時だけは、“ウソ!? やってくれるんだ”ってビックリしましたね(笑)。それも打ち合わせなしですから。
加藤 それ、いいですね。今度、僕もやってみようかな(笑)。
◆この続きは『週刊プレイボーイ23号』(5月23日発売)「ファンキー加藤 レジェンドたちと語る旅 第4回戦 JRA歴代最多勝利騎手の飽くなき挑戦心に迫る! 武豊」にてお読みいただけます!
(取材・文/工藤 晋 撮影/熊谷 貫)
●武豊(Take Yutaka) 1969年3月15日生まれ、京都府出身。デビュー以来、数々の記録を更新し続ける天才騎手。2010年に日本騎手クラブの会長に就任。フジテレビONEにて『武豊TV! Ⅱ』が放送中。【http://www.yutaka-take.com/】。
●ファンキー加藤(Funky Kato) 1978年12月18日生まれ、東京都出身。6月11日公開の初主演映画『サブイボマスク』の主題歌が6枚目のシングル『ブラザー』として6月8日にリリース予定。詳しくは公式サイトにて【http://funky kato.com/】