来季はぜひCLの舞台で日本人選手の活躍を見たいと語るセルジオ越後

欧州のシーズンもいよいよクライマックスだね。今季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝(イタリア・ミラノ)は、レアルとアトレティコによるマドリード・ダービーになった。

レアルはともかく、アトレティコの決勝進出には驚かされた。何しろ準々決勝でバルセロナ、準決勝でバイエルン・ミュンヘンと対戦する厳しい組み合わせだったからね。アトレティコも歴史ある名門クラブとはいえ、やはりクラブの格は違うし、さすがに勝ち上がりは予想できなかった。

ところが、スター軍団を相手に若くてイキのいい選手たちが高い守備意識とハードワークで食らいついた。守備をベースに粘り強く戦い、際どい勝負をモノにした。

立役者はなんといってもシメオネ監督だ。勝つためならなんでもする、という自身の現役時代のエネルギッシュなプレースタイルを選手たち全員に浸透させている。戦術的には他の監督と大差ないんだけど、モチベーターとしての手腕は本当に素晴らしい。

シメオネがアトレティコの監督に就任したのは2011-12年シーズン途中のこと。以降、毎年メンバーが少しずつ入れ替わりながらも継続的に結果を残している。もう名将の仲間入りを果たしたといっていい。

レアルとアトレティコは2年前にも決勝で顔を合わせている。その時は、前半にアトレティコが先制したものの、後半アディショナルタイムにレアルが同点に追いつき、延長で立て続けにゴールを奪って4-1と突き放した。一方で、今季の国内リーグではアトレティコが1勝1分けと勝ち越している。

来季のCLで見たい日本人選手の活躍

今回もレアルが攻め、アトレティコが守るという、誰にでも想像がつく展開になると思う。そしてシメオネ監督といえば現役時代、1998年フランスW杯のイングランド戦でベッカムに密着マークをしてイライラさせ退場に追い込んだことで有名だけど、今回もいろいろ仕掛けてくるはず。レアルの選手たちがそれに冷静に対応できるかどうかが試合のカギを握るね。

心情的にはアトレティコを応援する人が多いだろう。ただ、やはりレアルの優位は揺るがない。決勝は一発勝負。守るだけでは勝てない。どこかで勝負を仕掛けないといけない。そうなると、最後はキャスティングの差、個の力が勝負を分けると思う。点を取るという部分に関しては、レアルのほうが一枚も二枚も上手だ。

レアルは準々決勝のヴォルフスブルク戦、アウェーの初戦を0-2で落としたものの、2戦目のホームではクリスティアーノ・ロナウドがハットトリックを決め、逆転で準決勝進出を決めた。そうやって、ひとりでも試合を決められる切り札がいるのは大きい。ひょっとすると、思わぬ大差がつくかもしれないね。いずれにしても、シーズン最後の大一番は見どころがたくさんで、目が離せない展開になりそうだ。

最後にひとつ付け加えると、来季はぜひCLの舞台での日本人選手の活躍を見たい。かつては(中村)俊輔がスゴいFKを決めたり、11年には準々決勝で長友(インテル)と内田(シャルケ)の日本人対決も実現した。でも、ここ数年はパッとしないよね。

来季のCLに出場するだろう岡崎(レスター)や香川(ドルトムント)には、決勝とは言わないまでも、なんとか決勝トーナメントに進出して日本に明るいニュースを届けてほしい。

(構成/渡辺達也)