球団と球場が一体経営になるとスタジアム内の飲食店のレベルが上がるなど観客にもメリットが 球団と球場が一体経営になるとスタジアム内の飲食店のレベルが上がるなど観客にもメリットが

プロ野球チームは本拠地として使用しているドームやスタジアムに莫大な使用料を払っている。

例えば、「北海道日本ハム」は札幌ドームの使用料として毎年約13億円も計上。球団と球場の運営会社が違うためだ。

しかし最近は、「横浜DeNA」やサッカーの「ガンバ大阪」のように、チームがスタジアムを所有するのがトレンドになりつつある。そこに先日、「日ハムが新球場への移転を検討している」ということが話題になった。

このニュースに関心を示したのが、『週刊プレイボーイ』本誌で対談コラム「帰ってきた!なんかヘンだよね」を連載中の“ホリエモン”と堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人ひろゆき氏だ。

特に堀江氏は2004年の球団再編騒動では買収劇の渦中の人となり、昨年にはJリーグのアドバイザーに就任したこともあって、プロスポーツビジネスへの造詣(ぞうけい)も深い。その観点から、日ハムの新球場移転は「球団と球場の経営を一体化して、ビジネスをしやすくする」効果が期待できると指摘する。

一体経営になると観客にもメリットがある。例えば、スタジアム内の飲食店のレベルが上がることだ。堀江氏が言う。

「高速道路のサービスエリアをイメージすればわかりやすいよね。昔は飲食店のレベルがあまりにもヒドすぎたけど、道路公団が民営化したことでヘンな利権がなくなって、飲食店が急激にレベルアップした。同じ理屈がプロ野球のスタジアムにもいえるんだよ。てか、スタジアムとの一体経営ができないと、得ることのできたはずの利益をみすみす失うことにもなるし」

その点では、横浜DeNAの前例が参考になる。

「女性が来やすいようにトイレをキレイにしたり、『ベイスターズ・エール』っていうオリジナルビールを売ったりしたんだよ。プロ野球観戦ってビールが飛ぶように売れるんだけど、以前は大手メーカーに委託してたから利益が小さかったの。でも、自分たちで作るようになってから利益が大幅に増えたんだって」(堀江氏)

札幌ドームを買収したい日ハムだが…

ひろゆき氏も球団と球場の経営一体化に賛成だ。

「この手のビジネスって、メチャメチャやりやすいですよね。海の家のラーメンとかスキー場のカレーみたいに多少高くても、そこで買うしかないですから。まあ、ベイスターズファンは飲めばチームを応援することにもなるし、ファンじゃなくても珍しいビールを飲めるからメリットは多い。って考えると、ビールみたいに野球観戦に付随して売れるモノはいっぱいあるので、販売しない手はないですよね」

こうした工夫は野球にあまり興味がない人を呼びこむツールとして、ライトな層を取り込むことにも貢献している。それが結果として、経営の安定化にもつながるのだ。

「音楽ライブとかだと、コンサートのチケット自体では赤字だけど、物販やライブDVDの売り上げで莫大な利益を上げたり、ファンクラブ入会へのきっかけにしてたりしますしね。なので、『神輿(みこし)』として野球は必須なんですけど、売り上げは野球じゃないところのほうが利益率が高くなる可能性も十分あるんですよ。それを考えると、日ハムも自分のスタジアムを持ちたくなるよね、と」(ひろゆき氏)

とはいえ、球場所有に障害がないわけではない。日ハムの場合、新球場を建設せざる得ない裏事情が…?

「たぶん、日ハムも札幌ドームを買収したいんだろうけど、サッカーと共用ってのがネックになってるんだと思う。札幌ドームを使ってるのは『コンサドーレ札幌』なんだけど、日ハムは『セレッソ大阪』のスポンサーだったりするからね。

本当は同じ都市の野球とサッカーチームの親会社が同じ系列になればいいんだよ。楽天も『ヴィッセル神戸』じゃなくて『東北楽天』と同じ宮城県内に本拠地を置く『ベガルタ仙台』のスポンサーになればいいし、ソフトバンクも『アビスパ福岡』をサポートすればいいと思う」(堀江氏)

大人の事情はたくさんあるが、プロスポーツビジネスを成功させるためには、いずれにせよ球団と球場の経営一体化は必須になりつつあるようだ。ふたりも「利権まみれのマズい飲食店ばかりの球場は早くなくなってほしいね」と切望しているが…。

●このコラムの全文は『週刊プレイボーイ』25号(6月6日発売)にてお読みいただけます。

(イラスト/西アズナブル)