猛打賞の翌日でもベンチスタートと“大事”に使われ続けている今季のイチローだが… ※写真と本文は関係ありません

マーリンズのイチロー外野手が、メジャー通算2979本目のヒットを見事放ったのは6月15日のこと。これでイチローの安打数は日米通算4257本となり、ピート・ローズが保持するメジャー最多安打記録をついに上回った。メジャー事情に詳しいスポーツ紙記者がこう喜ぶ。

「アメリカでは『低レベルの日本球界での安打を含めた参考記録にすぎない』という声があるものの、ともあれ、これでイチローは世界で最も多くのヒットを打った野球選手ということになります」

イチローは今、絶好調だ。ここまで55試合(15日現在、以下同)に出場し、規定打席には達していないものの打率はチームトップの.349。

「今季もイチローはチーム4番目の外野手という扱いですが、外野レギュラー陣の故障や(指名打者制度のある)交流戦などで得たチャンスをうまく生かしています。特にピート・ローズの記録が視野に入った6月は、43打数18安打、打率.419とさらに調子を上げています」(前出・記者)

圧巻は今季、スタメン出場した際の活躍ぶりだ。これまで23試合に先発出場し、100打数35安打の打率.350。外野レギュラーのスタントンが打率1割台と絶不調なだけに好調のイチローをもっと起用してもよさそうなものだが、なぜか先発出場のチャンスは限られている。その理由をスポーツライターがこう説明する。

「契約社会のメジャーでは、イチローはどれだけ活躍しようが、4番目の外野手なんです。スタントンは2014年、マーリンズと13年総額3億2500万ドル(約384億円)の超大型契約を結んだチームの顔。現状は日本ならば二軍落ちもあるほどの不調ぶりですが、メジャーでは逆に『なんとしてでも、使いながら調子を上げてもらわないといけない選手』となる。使わなければいつまでたっても打率1割台ですから。それだけメジャーは契約がすべてなんです」

3千本安打達成のXデーはいつ?

4月には、それを象徴するような“事件”も起こった。

「現地時間4月16日のブレーブス戦で『代打・イチロー』が告げられるや、相手チームが左投手に交代したため、すかさす右打者のジョンソンがイチローの代打に送られたことがありました。イチローにとって、『代打の代打』を送られた経験は野球人生初で、さぞかし屈辱だったはずです。しかし、役割分担が明確なメジャーでは、あの場面で打席に立つのは右打者ジョンソンの役割というのが常識。いくら左投手を苦にしないイチローといえども、その役割を奪うことは許されないのです」(前出・スポーツライター)

今季のイチローの起用については、マッティングリー監督もかなり慎重だ。果たして、メジャー通算3千本安打達成のXデーはいつになるのか。前出のスポーツ紙記者が言う。

「今の好調ぶりなら毎試合スタメンで起用されれば、7月半ばにも達成できそうですが、現状の出場ペースならば8月までかかりそう。しかも今季のイチローは13打数10安打した後、23打数1安打と突如、成績が下降するなど波があるので、調子のいいうちにヒットを量産しておきたいところ」

8月のマイアミで大記録達成となるか。

(取材・文/本誌ニュース班)