2003年春にA・ロドリゲスがイチローとの対談で告げた予言とは…

日米通算安打数がピート・ローズのMLB記録を上回り、世界一のヒットマンとなったイチロー。

彼がメジャー挑戦2年目の2002年より、本誌連載『イチローイズム』で語ってくれた数々の言葉を、連載の書き手であるベースボールライターの石田雄太氏が今、再検証する。第1回のテーマは、イチローと「野球界の常識」。

■あのA-RODは予言していた

イチローがプロ25年目、メジャー16年目にして4257本目のヒットを放った。この日米通算の安打数がピート・ローズのMLB記録の数字を上回って、イチローが“世界一のヒット・キング”となったのである。

正直、15年前にはこんな日が来るなんて想像もしなかった。週プレで『イチローイズム』を連載していた当時、出てきた古(いにしえ)の名前といえば、イチローがメジャー1年目に242安打を打って塗り替えた、MLBのルーキー最多安打(233安打)記録保持者、“シューレス”ジョー・ジャクソンであり、257安打のシーズン最多安打記録を持っていたジョージ・シスラーであり、最後の4割打者、テッド・ウイリアムズだった。

どの記録も最大瞬間風速の力を借りれば達成可能なシーズン記録であって、時間のかかる通算記録の類(たぐ)いにはまったく目が向かなかった。

そりゃ、そうだ。

イチローは日本のプロ野球で9年もプレーしていたのである。MLBのキャリアを9年もロスした選手に、通算記録で楽しませてもらえるなどとは想像もしない。ましてピート・ローズに並ぶとか、メジャーで3000本安打を打つなんて思い浮かべたこともなかった。

イチローを巡ってピート・ローズの名前が最初に出たのは、イチローが2004年、通算4度目の月間50安打を記録してローズに並んだ時…いや、待てよ。そういえば、その1年前、2003年の春、アレックス・ロドリゲスがイチローと対談した時、A-RODがこんなことを言っていたっけ。

「僕はたいした予言者だったんだ。メジャー1年目のシーズン前、イチローは3割5分打つだろうって言ったんだからね。もしイチローが僕と同じ年齢からメジャーでプレーしていたら、ピート・ローズと通算安打の記録争いをしたと思うよ、とも言った。イチローは1年目、きっかり3割5分打ったろ? ピート・ローズにも追いつくはずだよ」

◆この続きは『週刊プレイボーイ』28号(6月27日発売)「イチローイズム再検証 vol.1」にてお読みいただけます!

(文/石田雄太)