1リーグ時代の1937年から、大リーグを手本に「職業野球東西対抗戦」の名で始まったオールスター。約80年の歴史の中で、後世に語り継がれる「伝説の大記録」や、ファンが歓喜した「球宴ならではの夢の対戦」など、数々の名場面を生み出してきた。
巷では「最近のオールスターはつまらない」なんて言われるが、野球ファンなら見逃す手はない! そこで今回は、過去のオールスター名場面を振り返ってみた。
●江夏が9者連続三振を達成! 日本プロ野球のオールスター史上、トップ・オブ・レジェンドであり続けている記録がこちら。江夏豊(阪神)が1971年に達成した。
実は、この年の江夏は球宴前まで6勝9敗と必ずしも好調でなかっただけに、大舞台での強さには驚くほかない。しかも、打者としても2回表に自ら3ランホームランをかっ飛ばすなど、大谷翔平(日本ハム)も真っ青の“二刀流”ぶりを見せつけた。
こんな「神ってる」選手は、もうなかなか現れないだろう。
●掛布が3打席連続ホームラン 再び阪神から。掛布雅之が78年に今はなき後楽園球場のスタンドに強烈なホームランを3本連続で叩き込んだ。
掛布はこのオールスターでの3連発を皮切りに、ホームラン打者として覚醒。この年、32本塁打を記録すると、翌79年は48本と大爆発して本塁打王を獲得した。78年までチームメイトだった田淵幸一が西武に移籍したこともあり、この頃から、“ミスタータイガース”の地位は完全に掛布のものになった。
こんな選手が今の阪神にいれば……という期待を背負い、現在の掛布は二軍監督として未来の“ミスタータイガース”を育てている。
KKコンビの初対決が実現
●桑田×清原がプロ初の「KK対決」 桑田真澄(巨人)と清原和博(西武)、この2人の初対決が実現したのもオールスターだった。遡ること約30年前の1987年、互いに19歳のこと。しかも、場所は思い出の地である甲子園球場。
社会的にも大きな注目を集めたこの対決は、戦前からの約束どおり、桑田が渾身の力を込めたストレートを投げ込み、清原が全力でバットを振る。すると、打球はレフトスタンドへ吸い込まれるホームランとなった。
ちなみに、この打席以降のオールスターでのKK対決は計8打席あり、桑田が清原を無安打に抑えて圧倒している。しかし初対決での印象が強すぎ、この事実はあまり知られていない。
●ピッチャー・イチローが実現! 90年代中盤以降の野球界はイチロー(オリックス)の活躍を抜きには語れない。しかし、オールスターでもっとも話題になったのは、そのバッティングではなく、まさかのピッチャー登板だった。
いったい、なぜこんなことが実現したのか? 当時の詳細は発売中の『週刊プレイボーイ』30号のオールスター特集にて紹介している。
ほかにも発売中の本誌『週刊プレイボーイ』30号(7月11日発売)では、「王、長嶋ではない、最強のオールスター男」や「スターの影に隠れがちなスペシャリストたちの活躍」といったコラムも掲載。オールスターをさらに楽しめる内容になっているので、ぜひご覧いただきたい。
(取材・文/キビタキビオ 協力/寺崎敦)