いざ試合が始まればつかみ合い、蹴り合い、さらには金的攻撃も――。“水中の格闘技”といわれる水球の男子日本代表、愛称“ポセイドンジャパン”。32年ぶりに五輪に出場するチームの中心が、主将の志水祐介だ。
選手の全員がアメコミヒーローのようなマッチョ体形だが、それでも強豪国と比べれば、日本代表は“世界で一番小さい”と言われる。一体、どれほど激しいスポーツなのか? 志水に聞いた。
―水球選手はマッチョぞろいの印象が強いです。やはり体がデカくないと戦えない?
志水 大きくなければ厳しいというのは事実です。特に、私は相手ゴール前に張ってプレーする、サッカーでいうセンターフォワードのようなポジションなので体格がモノをいいますね。マッチアップする相手は身長2m、体重100kgが当たり前。身長181cmの私はかなり小さいんです。
―水球はよく“水中の格闘技”といわれますね。
志水 ポジションによっては、ボールを持つよりも相手との接触のほうが多く、常に水中でつかみ合いをしている感じです。私の場合は、攻撃時にゴール前で味方が少しでもラクにシュートを打てるようなポジションを取ることが重要なので、正直、顔を水面に出していない時間のほうが長いかもしれません(笑)。
―水中でのバトルはやはり相当激しいんですか?
志水 もうほぼレスリングに近いと思ってもらえれば(笑)。手首、足、水着、ヒドいときは帽子も、とりあえずつかめるところをつかんで、お互い反則に見えないように攻防を繰り返しています。
“男の部位”を握ってくる選手も…
―とはいえ、さすがに殴ったら反則ですよね。基準はどうなっているんですか?
志水 ルール上、つかみ合うことは問題ないんですけど、打撃は基本NG。ただ、水中はどうしても死角になりますし、試合中はヒートアップしますので、蹴られるのは当たり前です。あとは、場合によって“男の部位”を握ってくる選手も(笑)。
―金的攻撃ですか(笑)。
志水 外国人選手はピンチになると狙ってきます(笑)。強く握られると、力んで一瞬動けなくなりますので…。
―恐ろしいです…。それだけ激しかったら、ケガも多そうですね。
志水 私自身はこの4年間で、鼻を1回とあばらを2、3本折っています。ただ、ケガはつきものというか、もう慣れていますし、骨が1、2本折れようが試合には出ますし、関係ないですよ。
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インタビューでは「体は小さいけど、自信も、戦う覚悟もある」と答えた志水。リオ五輪が32年ぶりの出場となるが、大男ばかりが居並ぶ五輪において、果たして勝機はあるのか?
発売中の『週刊プレイボーイ』30号では、このインタビュー全文を掲載中。圧倒的な練習量に支えられた自慢の肉体と、五輪に向けた抱負を思う存分に語ってもらったので是非お読みいただきたい。
(取材・文/栗原正夫 撮影/ヤナガワゴーッ!)