「金本が激しすぎる!」とファンの間でも賛美両論、話題に…吉と出るか凶と出るか?

金本阪神がもがき苦しんでいる。開幕当初こそ「超変革」を掲げて若手を積極的に起用し、白星を重ねていたものの、その後はズルズルと黒星を重ね、今や借金は2桁で最下位争い。とうとう自力優勝の目もなくなってしまった…。

■本気で怒るとバリバリの広島弁に

不振を極めるタイガースの惨状を虎番記者がこう嘆く。

「交流戦で7勝11敗と失速し、その後も広島戦6連敗。後半戦こそはと巻き返しに意欲を見せるも、いきなり本拠地の甲子園で巨人に3連敗とボロボロです。西岡はケガで今季絶望、鳥谷も不振ぶりは深刻で、7月18日からの対巨人3連戦で11打数ノーヒットのブレーキぶり。ついにはスポーツ紙も1面で『鳥最悪』『鳥呆れるミス』と、一斉に鳥谷を名指しで批判するほどでした」

その鳥谷は先日ついにスタメンから外され、連続フルイニング出場も途切れるというハメに…。そんなダメ虎にファンも不満タラタラだが、それ以上に怒り心頭なのが金本監督だ。チームに活を入れるべく、奇行まがいの「鬼しばき」を連発しているのだ。

そのひとつが、7月8日の対広島戦で不甲斐ない投球を見せたエース・藤浪への161球“懲罰続投”だった。前出の虎番記者が続ける。

「このゲームで、藤浪の体たらくに怒った金本監督は2点ビハインドの7回、すでに131球を投じていた藤浪に代打を送らずに続投。エースに負け試合で161球も投げさせる異常事態となりました」

この不可解な采配について、試合後、金本監督は「何球投げようが、何点取られようが、最後まで藤浪に投げさせるつもりだった」とコメント。つまり、この采配は金本流の「鬼しばき」だったのだ。

また、「金本監督が激しすぎる」とチーム内外で話題になっているのが試合中の「鬼の円陣」だ。

7月6日の対巨人戦。初回に1番上本、2番鳥谷が連続三振に倒れると、なんとまだ2回だというのに、攻撃前に金本監督がナインに円陣を組むよう指示したのだ。全国紙の運動部記者が言う。

「試合が始まって十数分しかたっていないのに、監督自らが円陣の真ん中に入り、鬼の形相で身ぶり手ぶりを交えながら『最初から、第1打席から9回2死満塁くらいの気持ちでいけよ!』と選手を叱咤(しった)し始めたんです。しかも、その怒声がエグイ。監督は本気で怒るとバリバリの広島弁が出るんですが、このときはかなり離れたカメラマン席にまで、どぎつい広島弁が聞こえたといいます」

この“怒りの儀式”は4日後の広島戦(甲子園)でも再び行なわれた。

「この日は2回を終えた時点で0-8と絶望的な負け試合。これにキレた金本監督は3回の攻撃前、再び円陣を組んで選手を叱咤し始めたんです。ワンサイドゲームでこうした光景を目にするのは極めて異例です」(前出・全国紙運動部記者)

「鬼しばき」は赤ヘル仕込みの育成法

こうした金本監督の「鬼しばき」は球団内でどう受け止められているのか。前出の虎番記者が言う。

「例の藤浪の懲罰投球についてはチーム内でも賛否両論です。藤浪はリリースポイントがバラバラで安定して同じ球を投げられない欠点があるのですが、毎年2桁勝ってきただけに、これまで誰も苦言を呈することができなかった。そういう意味では『よくぞやってくれた』との声もあるんです。

ただ、その一方で『気持ちはわかるが、あれは限度を超えている』とか『普段からチームが勝つことが一番大事と言ってる監督が勝負を捨てて懲罰を優先したのは言行不一致。これは選手のモチベーションを下げる』という批判がいまだにくすぶっているのも事実です」

ただし、当の金本監督に反省の様子はまったくないとか。

「『鬼の円陣』についても、『選手を客が見ているグラウンドで怒鳴りあげるのはいかがなものか』という批判の声がチーム内から上がったんですが、金本監督はまったく意に介しません。むしろ、試合後の『名指し批判』は相変わらずですし、不甲斐ないプレーを見せた選手には、これまで以上に厳しく対処し、チームをさらに引き締めようという強い意志すら感じます」(虎番記者)

金本監督のこの強い意志は一体どこから生まれてくるのか? 現役時代をよく知るスポーツ紙のデスクが解説する。

「厳しさを前面に打ち出した『鬼しばき』や『懲罰指導』は、金本監督にとってごくごくありふれたもの。というのも、彼が現役時代10年間在籍していた広島は、選手を鍛え上げるという伝統を持った球団。そのため、金本監督も懲罰投球はもちろん、懲罰交代、懲罰練習などを当たり前のことのように受け入れて一流選手になってきた。

つまり、この『鬼しばき』は赤ヘル仕込みで、彼にとって身に染みついた育成法なんです。彼が『超変革』をスローガンにチーム強化を目指している以上、ぬるま湯に漬かった阪神の選手たちは誰が『鬼しばき』のターゲットになってもおかしくない。“聖域”はないですよ」

「鳥谷は外さない」と言い続け、それも懲罰か?との憶測もあったが、ついにスタメンから外したのもまさに“聖域はない”を実践したということか。

ただ、この厳しさにはある種の危険もはらんでいると前出のスポーツ紙デスクは言う。

「金本監督の厳しさの背景には、選手にうまくなってもらいたいという期待や愛情がある。その真意がうまく選手に伝われば、懲罰指導でボコボコにされても選手は発奮するでしょう。ただ、伝わらない場合は人気球団の選手だけに、そっぽを向かれてしまい、チームが空中分解する可能性も否定できません」

「赤鬼」と化した金本監督の懲罰指導は果たして吉と出るのか、凶と出るのか?

(取材・文/本誌ニュース班)