ネイマールのような世界的な外国人選手がJリーグに続々とやって来る!? ※写真と本文は関係ありません

ジーコを筆頭に多くのスター選手がプレーしていたのも今は昔ーー。

バブル崩壊以降、地味になる一方だったJリーグが、海外企業と大型の放映権契約を結んだ。来季以降、各クラブへの分配金が増えるのは確実。再び“最高の時代”がやって来る!?

■ブレイク前の有望株がJリーグに集結!?

Jリーグが2017年から、英「パフォームグループ」と新たな放映権契約を結んだ。

相手は世界最大級の動画配信サービス企業だけあって、その契約額は10年間総額約2100億円! しかもこれは最低保証額で、あらかじめ決められた数字を上回る収益を得た場合、さらなる増額の可能性もあるという。

現在の放映権契約は、スカパー!との間で12年から結ばれてきた年間約30億円(推定)だから、1年当たりの金額が一気に7倍に跳ね上がったわけだ。

Jリーグの村井満チェアマンは自身の新聞連載コラムで、リーグ戦の成績などに準じてこの放映権料を各クラブに配分すると明言している。来季以降、J1上位クラブのフトコロがかなり潤(うるお)うのは間違いない。

となると期待したいのは、Jリーグ発足当初のように、世界的な外国人選手がプレーする姿だ。その昔はジーコ、リネカーなど引退間近の超大物や、レオナルドやドゥンガといった現役ブラジル代表だって当たり前のように在籍していたのに、今やその手の世界的選手は中国や中東のクラブに“爆買い”され、日本に来るのは地味な選手ばかり。

過去最高額で結ばれた今回の放映権契約は、そんな閉塞(へいそく)状況をぶち破り、Jリーグが華やかさを取り戻すための導火線となるのではないか? いや、なってもらいたい!

が、現実はそう甘くないようで……。サッカージャーナリストの後藤健生(たけお)氏が語る。

「年間約210億円が入ってきて、それをJ1の上位クラブがより潤う比率で配分したとしても、J3に至るまでの全53クラブにいくばくかの金額を行き渡らさなければなりません。それを考えると、J1覇者でさえ何十億という金額を受け取れるわけではないはず。大物外国人選手を獲得できるほどの増収になるとは考えづらいですね」

マネーゲームには太刀打ちできない?

今年6月に現役ブラジル代表のフッキを獲得した中国リーグの上海上港が、前所属先のゼニト・サンクトペテルブルク(ロシア)に支払った移籍金は、アジア史上最高額となる約63億円。それとは別に彼への年俸が約25億円だというのだから、ケタ外れのマネーゲームに太刀打ちできるJクラブは確かに来年以降も現れそうもない。

しかも中国には上海上港をはじめ、放映権料収入など当てにしなくても、オーナーのポケットマネーで何十億もの選手獲得費用を捻出できるクラブがひしめいているのだ…。では、増収分は実際にはどう使われそうなのか?

「それはJ各クラブの状況ごとに違うでしょうね。J2やJ3あたりだと、練習場やクラブハウス、あるいはスタジアムといった箱モノの整備に充てるところも少なくないでしょう。もちろん、J1の強豪で『あそこのポジションにいい選手がいたら、今季優勝を狙える』と考えるところがあれば、外国人選手獲得に使うでしょうが」(後藤氏)

だけど、ビッグネームは買えないんですよね?

「何も大物である必要はないのでは? 分配金の有効利用法として私が考えるのは、世界中にネットワークを持ち、無名でも能力のある選手を獲得するのに長(た)けた強化担当者を欧州からヘッドハントしたり、国際的なスカウティング網を充実させてはどうかということ。そんなスタッフを海外から招聘(しょうへい)するのに要する費用は、選手の獲得に比べればかなり安く済みますし、限られた予算で優れた原石を見つけてくれるはず」(後藤氏)

そんなコスパのいい選手がJリーグに増えると、どうなるか? サッカージャーナリストの西部謙司氏が言う。

「ブレイク前の有望外国人選手がJでプレーしながら頭角を現し、欧州のクラブに高値で買われていくという流れができるでしょうね。Jは『ステップアップの足掛かりになるリーグ』『自分を成長させてくれるリーグ』として世界的に認知され、将来性のある選手や無名ながら実力を持った選手がどんどんやって来る。結果、リーグは活性化するし、クラブの財政も安定します」

なるほど。確かに堅実にして持続性のある、有効な金の使い方であるのはよくわかる。でも、なんか華がないんだよなぁ(苦笑)。

移籍金を含めほぼ誰でも買える方法とは?

■現実的に呼べそうな超大物選手

やっぱりJリーグでビッグネームがプレーする姿を見るのは無理?

「暴論ですが、策がないわけではありません。年間の放映権料をまとめて、リーグとして超大物外国人選手の獲得につぎ込むのです。210億円あれば相当なビッグネームが買えます。その選手を、例えば前年ギリギリで降格を免れたJ1のクラブに加入させれば、まず世間での注目度が格段に上がります。

さらに、ただでさえ絶対的存在のいないJ1の優勝争いがますますもつれるし、所属クラブのホームゲームの観客動員が増えるのはもちろん、アウェー戦の動員だって増え、相手チームも潤う。その方式で2、3年ごとに大物を入れ替えていけば、Jリーグ人気は持続でき、弱小クラブの経営状態が順番に改善できます」(西部氏)

まさにいいことずくめ。ちまちま分配するのではなく、一点集中でどーんと即効性のある投資をするのは、確かに名案かも。

では、オファーを出すなら具体的に誰? 現在世界最高年俸のネイマールが1年約28億円。メッシ(推定年俸約23億円)でも、クリスティアーノ・ロナウド(同約19億円)でも、計算上は移籍金を含めてほぼ誰でも買えるわけですが(笑)。

「それはもう選び放題ですよ(笑)。日本のサッカーにフィットしそうという意味では、バルセロナのベテラン、イニエスタ(同約6億円)など面白いかもしれません。元チームメイトのシャビが現在カタールでプレーしていますから、アジアへの移籍も抵抗がないだろうし。もし来日してくれれば、Jにバルササッカーのエッセンスを注入してくれることでしょう」(西部氏)

夢のある話! 暴論だろうとなんだろうと、検討してみる価値はあるぞ!

(写真/日本雑誌協会)