中日の谷繁元信監督が成績不振を理由に、事実上の解任となる「休養」に追い込まれたのは8月9日のこと。
だが、成績不振は表向きの理由。確執を深める落合博満GMが「谷繁切り」に動いたとの見方がもっぱらだ。中日担当記者がささやく。
「補強やコーチ人事を巡り、谷繁監督と落合GMは互いに口もきかないほど、確執を深めていました。とにかく落合GMの補強は失敗続き。FAで狙った選手は誰も獲れず、ドラフト入団した新人も不作続き。戦力ダウンは落合GMの『オレ流編成』が失敗したせいと、谷繁監督は不満を強めていたのです」
ふたりの不仲が決定的となったのが、昨冬の直訴事件だった。担当記者が続ける。
「谷繁監督が白井文吾(ぶんご)オーナーを訪ね、落合GMの編成手腕のまずさを直訴したんです。これに落合GMが激怒し、ふたりの対立は決定的に。今回、シーズン途中、異例の解任劇となったのは世間の関心がリオ五輪に集中し、『谷繁切り』のニュースが目立たずに済むと考えたのに加え、シーズンオフになると自らの責任も追及されかねないと考えた落合GMが先手を打ったともいわれています」
注目すべきは、今回も落合GMを白井オーナーが全面支持している点だ。中日の球団関係者がこう証言する。
「オーナーは『編成面に責任はない』と、落合GMをかばう発言を繰り返しています。元々、GMとオーナーは蜜月関係で有名ですが、さらにその関係を強めたのが落合信子夫人といわれています」
白井オーナーは3年前に妻に先立たれている。一説には、その亡妻に代わり、信子夫人が身の回りの世話を一手に引き受けたとも。
「信子夫人は悲しみに沈む白井オーナーを心配し、話し相手になっていたそうです。そのためオーナーは落合一家に肉親や親戚のような親近感を感じているのです。だからこそ落合GMは白井オーナーの威光を利用して『谷繁切り』を強行できたのです」
『中日スポーツ』でさえ、オーナー批判
ただ、ここにきて異変が。グループ内の反白井オーナー派が落合降ろしの動きを見せ始めているというのだ。
「谷繁監督の解任後、チームは上向くどころか、6連敗で首位から遠く離れた最下位のまま。球団には『成績不振を監督のせいだけにして、GMにはおとがめなしとはどういうことだ!』とファンからの批判が相次いでいるんです」(前出・担当記者)
ついには親会社が発行する『中日スポーツ』でさえ、「編成面(落合GM)に責任はない」という白井オーナーの発言を批判する記事を掲載するまでになってしまった。
「さらに、落合GMと相いれないといわれる主力の大島や平田も今オフのFA移籍がささやかれており、球団は崩壊寸前という異常事態です。長期政権を続ける白井オーナーの前に、親会社の反白井オーナー派は沈黙を守ってきましたが、さすがに今回は黙ってないでしょう。
落合GMは自分の息のかかった小笠原二軍監督の昇格を既定路線としていますが、シーズンが終了すれば、反白井オーナー派を中心に『落合降ろし』が吹き荒れるのは確実です」
監督休養の次はGM辞任となるのか? 今オフ、中日の動向から目が離せない。
(取材/ボールルーム)