銅メダルを獲得するも悔しさをあらわにする柔道男子66kg級の海老沼匡(まさし) 写真/JMPA

試合後に期待された成績が残せなかった選手が“とにかく謝っていた”印象の強かったリオ五輪。

彼らがどんな言葉を発しようが、見ている側に必要なのは、彼らの気持ちに寄り添い、共感しようとする姿勢なのではないだろうか。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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世の中に、オリンピックに出たことのある人って、どれくらいいるのかな。もちろん私は出たことがないし、周りにも、出そうになった人すらいない。それぐらい、オリンピック選手って特別な存在。

閉会式の画面に映っていたのはみーんな、そんな超特別な人たちです。でも、メダルを手にしたのはひと握り。多くの選手の記録は光を浴びずに終わる……なんて過酷な世界でしょう。

努力を重ねてそんな特殊な場所に立つ選手って、ほんとにすごい。めちゃくちゃリスペクトです。「日本代表」といっても、個人的にはまるで別世界の人!

選手たちに、負けたら謝れとか謝るなとか、勝ったらうれしそうにしろとか調子に乗るなとか、感謝しろとか泣くなとか、いろいろ言う人がいるけど、じゃあ人生かけてオリンピック、出てみろって。

戦った本人にしか、どんな気持ちかは言えないでしょ? まずは素直にそれを聞きたいよ。

選手の言葉に耳を傾け、胸を打たれて、涙し、笑って、共感するだけでいいじゃない。そして、心からの拍手を。ただただ今は、すべての選手に心からの拍手を送ります。

●小島慶子(Kojima Keiko)タレント、エッセイスト。レスリングの吉田沙保里選手が、表彰式後のインタビューで涙ながらに銀メダルの悔しさを語ったときに「レスリングやってて幸せです」と言ったのが印象的でした。とてもすてきでした